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次の「新幹線」はどこか 東海道新幹線の“未来”を予想してみた

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月12日 6時10分

 静岡工区着工の外堀は埋まりつつあり、今年度に着工できれば工期10年の2034年度内に竣工となる。つまり、2034年10月は、リニア中央新幹線の開業に間に合うか否かという微妙な時期といえる。ここでは期待をこめて、リニア中央新幹線開業後の東海道新幹線を展望したい。

●のぞみ12本ダイヤはどうなるか

 リニア中央新幹線が開業すると、現在の「のぞみ」の需要の一部がリニア中央新幹線に移るため、ダイヤに余裕が生まれる。つまり、「のぞみ」が減り、「ひかり」または「こだま」が増える。これは規定の方針で、JR東海は静岡県内の新幹線駅にポスターも掲示している。約束と言っていい。すぐにでも具体的な本数を挙げてくれたら静岡県民からの期待も上がるところだ。しかしJR東海はダイヤ編成の詳細を明らかにしない。そんなことをしたら当時の知事が「だったら今すぐにやれ」といい出しかねなかったからだ、と私は思っている。

 その代わり、国土交通省が2023年10月に「リニア中央新幹線開業に伴う東海道新幹線利便性向上等のポテンシャルについて」という資料を公開した。「リニア中央新幹線の大阪開業により、(中略)輸送量が約3割程度減少する可能性があり、東海道新幹線の輸送力に余裕が生じる見込み」「この輸送力の余裕を活用して、東海道新幹線静岡県内駅における列車の停車回数が現状の約1.5倍程度増加する(中略)、静岡県内に停車する「ひかり」についても増加する余地がある」と説明した。静岡県の経済波及効果は2037~46年の累計で1679億円、雇用効果は約15万6000人だ。

 ただし、上の文書はリニア中央新幹線の「新大阪開業後」の話である。静岡工区の遅れを踏まえると、実現するのは2045年以降になると見込まれる。2034年10月には到底間に合わない。

 2034年にリニア中央新幹線が品川~名古屋間で開業した場合、「のぞみ」利用者のうち、東京・品川と名古屋駅の相互の利用者しかリニア中央新幹線に移転しないだろう。2023年12月の報道によると、JR東海はリニア中央新幹線の品川駅を地下約40メートル、名古屋駅を地下約30メートルに設置し、東海道新幹線からの乗り換え時間を最短3分にする考えだ。エレベーターやエスカレーターを多数設置するという。

 この数値は、2010年11月にJR東海が国土交通省の交通政策審議会中央新幹線小委員会で示した資料にもある。乗り換え標準時間は3~9分。ただし、こちらでは「余裕時分を見ても15分後に接続列車を設定すれば乗継は十分可能」としている。乗客の誰もが俊足ではない。そもそも、敦賀駅の北陸新幹線乗り換えの現状を見ると、3~9分は現実的ではなさそうだ。

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