次の「新幹線」はどこか 東海道新幹線の“未来”を予想してみた
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月12日 6時10分
ちなみに、東武鉄道「スペーシアX」の浅草~日光間は約1時間50分。この所要時間で、コックピットラウンジ、定員7名のコックピットスイート(個室)、定員4名のコンパートメント、定員2名のボックスシート、プレミアムスイート、スタンダードシートを展開する。
「のぞみ」は東京~名古屋間を1時間50分、東京~大阪間を2時間40分で走る。所要時間でスペーシアXとほぼ同じ。新たな付加価値サービスがあってもいい。「N700x」に期待しよう。
●自動運転は確実に始まる
ダイヤ、新駅、新型車両はあくまでも予想の範囲だ。しかし確実に実行されそうな新技術がある。JR東海の公式サイトに、乗客から見えない進化が紹介されている。
時速285キロメートル走行に対応した新たな営業車検測装置の開発
ドクターイエローと呼ばれた新幹線電気軌道総合試験車が、2025年1月に引退する。これも大きな話題となった。その背景には、乗客からは見えない進化がある。
現在のN700Sの中には、軌道状態検査システム、トロリ線(架線)状態監視システム、ATC信号・軌道回路状態監視システムを搭載した車両がある。営業列車が線路の異常の予兆を察知して保守に役立てる仕組みをつくった。2026年度から2028年度までに製造されるN700Sは、電車線(架線と周辺の設備)の画像を撮影・解析する機能や、点群データ解析で軌道(レールとまくらぎなど)の状態を検査できる。
東海道新幹線から試験専用車がなくなるけれども、試験精度は向上する。
新幹線車両による架線電圧を維持する機能の開発について
省エネルギーの取り組みも乗客からは見えない。1つの線路で複数の電車を走らせると、同じ電気回路で複数のモーターを回す状態になる。「のぞみ12本ダイヤ」の実現に当たり、地上の変電所や電力補償装置を増強して架線電圧を維持している。
これを車両側の工夫で解決しようという技術の開発が進んでいる。電車が電気を取り込み、モーターに向けて電流、電圧を制御する「主変換装置」のソフトウェアを改良し、電車自身が架線電圧を維持する機能を持たせる。これは世界初の技術だという。この技術を東海道新幹線の全編成に導入すると、電気使用量を年間約2000万kWh削減できる。あわせて変電所の1割削減、電力補償装置の半減を期待できる。
高速鉄道で大容量通信(最大1Gbps)を実現するミリ波方式列車無線の開発
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