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次の「新幹線」はどこか 東海道新幹線の“未来”を予想してみた

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月12日 6時10分

 列車無線は、地上の列車司令員と乗務員の間で使う連絡手段だ。東海道新幹線は当初、鉄道では一般的な空間波方式、いわゆるラジオ無線機を使っていた。航空無線やタクシーの車内無線と同様だ。この設備の老朽化をきっかけに、1989年からLCX方式に変更された。ラジオ無線は基地局のアンテナと送受信機の間に高層ビルやトンネルがあると不安定になる。LCXは漏えい同軸ケーブルを線路に並行して設置して、400MHzで通信を行う。

 漏えいという言葉が気になるけれども、これは「本来は電波を漏らしてはいけない同軸ケーブルの外部に隙間をつくって、わざと電波を出入りさせる」という意味だ。つまり、同軸ケーブル自体が連続したアンテナとして機能する。ラジオ式よりも通信容量を増やせるため、車両の動作状態の送信や客室出入り口上の文字ニュースのデータ受信も可能になった。

 ミリ波方式列車無線はこれに替わる仕組みだ。ミリ波は周波数が30GHzから300GHzの電磁波で、5G通信や自動車の衝突防止システムなどに使われている。周波数が高いため、情報量を増やせる利点があるけれども、空気中の水分子や酸素分子に吸収され減衰しやすい。JR東海はミリ波を列車無線に採用するため、一定間隔で地上無線機を設置し、降雨でノイズが混じっても情報を取り出せる「豪雨モード」を開発した。

 LCX方式の伝送容量は約3Mbpsだった。ミリ波方式の伝送容量は約1GHzとなり、いままでより大容量のデータ通信が可能になる。これは前出の「営業車検測装置」によって「画像や点群データを解析する」機能とリンクしている。

 ミリ波方式の列車無線は、2027年を使用開始予定として工事が進められている。これは乗客にとって直接的なメリットもある。東海道新幹線の車窓を楽しむとき、電線が目障りだったはずだ。あの電線が漏洩同軸ケーブルだ。ミリ波方式になって漏洩同軸ケーブルが廃止されると、目障りな電線が消える。ただし、通信バックアップ用にケーブルが残るかもしれないが。その時はせめて窓より低い位置にしてほしい。

東海道新幹線の自動運転システムに関する技術開発

 自動運転が実用化されれば、運転士は乗車するけれども、発車ボタンを押すだけ。あとは機械がダイヤ通りに加減速して、自動的に停車する。すでに地下鉄などで採用されている技術だ。東海道新幹線は運行距離が長く、適宜加速しつつ高速を維持する必要もある。曲線や停車駅パターンも多様だ。突発的な保守による減速区間もある。運転パターンをつくって終わり、というわけにはいかない。「のぞみ」「ひかり」「こだま」、さらに、それぞれの種別に異なる運行パターンがある。

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