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なぜ日本のマンガは、次々に「メガヒット」するのか

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月13日 8時10分

なぜ日本のマンガは、次々に「メガヒット」するのか

日本のマンガが拡大した理由は?

 「裾野広ければ頂(いただき)高し」

 実は、この言葉は、名作『あしたのジョー』を世に送り、現在は日本漫画家協会会長のちばてつやさんが、ことあるごとに使っていた言葉なのです。首相や政府へのロビー活動の際にも使っていたのだとか。漫画家がたくさんいて、あらゆる種類の作品が生み出される環境が発展するほど、面白い作品ができて業界が発展するという意味です。これは、当たり前のことのように聞こえますが、日本のマンガが発展してきた真理なのだと私は考えます。

 2024年現在、日本に何人のプロ漫画家がいて、年間何作品が生まれているか、正確な数字は算出できないのですが、参考となる情報として、2010年頃、書店で漫画単行本を発刊する漫画家は約6000人、単行本のアイテム数は1万2000冊強あったようです。

 プロとして生計を立てている人だけでなく、漫画家志望者の人数も加えると、その裾野はさらに広いことが分かります。例えば、大学で漫画を教えているところが28校、専門学校が68校を超えており、合わせて推計で5000人超の漫画家志望の学生がいます。

 また、日本最大規模の同人誌即売会であるコミックマーケットが、コロナ禍前で最大規模を誇っていた頃には、1回の開催での参加サークル数が3.5万、申し込みベースだと5.1万という巨大な開催だったこともありました。

 しかも、漫画家や作品の数は、この数字が発表された2010年以降、さらに拡大の一途をたどっています。要因としては、主に3つが考えられます。

●拡大の要因

 1つ目は、スマホの普及により、電子書籍プラットフォームやマンガアプリから生まれた漫画の数が大きく増えていること。

 2つ目は、出版社などを介さない、個人による漫画販売が増えたこと。これは、コミックマーケットのような同人誌即売会で同人誌を発売するクリエイターや、Kindleインディーズマンガをはじめとしたデジタルプラットフォーム上で発信するクリエイターも当てはまります。

 3つ目は、いわゆるWebtoon(ウェブトゥーン)と呼ばれる縦読みのマンガを制作する、ウェブトゥーンスタジオの設立ブームが起こったこと。2年ほどの間に、70~80ほどのウェブトゥーン制作スタジオができたことが公表されました。また、それ以上の数の編集プロダクションや個人が、無数に新しいジャンルのウェブトゥーンに進出しました。

 紙で印刷して店頭に並ぶアイテム数だけで、年間で約1万5000ほどです。デジタル作品はこうした一元管理がなされておらず、年間の作品数で見ても、1万5000~2万ほど生み出されているのではないかという肌感です。

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