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日本で「面白いマンガ」が生まれ続けるのは、なぜ?

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月14日 7時35分

 マーケットイン型のほうが手堅くヒットを生み出す傾向にあるのですが、時代を変えるような前例のない作品はプロダクトアウト型から生まれます。さらにいえば、数多くいる漫画家のうち、天才が描いたプロダクトアウト型の作品こそ、メガヒットの原石なのです。

 なぜなら、天才の作品というのは、連続的に発展していく凡人の発想を飛び越えて、跳躍した発想のもと、新たな表現を生み出して後の世に続く新たな天才に影響を与え続けていくのです。

●なぜ、日本に面白いマンガが生まれ続けるのか?

 天才が描いたプロダクトアウト型の作品だけがメガヒットする。それならば、天才だけをスカウトしてきて、作品をつくれば、大量に作品をつくらなくてもすぐにメガヒットが生み出せるのではないか。そう思われるかもしれません。

 しかし、天才というものは、いきなり1人だけをピックアップしても出現しないものです。まるで、神のいたずらのようにランダムに出現するのです。だからこそ、裾野を広くして、試行回数を増やさなければなりません。

 さらにメガヒット作品を産んだ天才は、時代のヒーローとなり、世の中の憧れの的となります。その天才に憧れた次の世代の天才がまた新たなメガヒット作品を生み出していく。

 こうして、天才たちにより輪廻のように作品が紡がれ続ける。この連鎖こそが日本の漫画業界でメガヒットが生まれる理由です。

 2024年3月1日に、『Dr. スランプ』『ドラゴンボール』を生み出した、漫画史を象徴する漫画家・鳥山明さんが逝去されました。手塚治虫に端を発した日本の天才漫画家たちの系譜の中でも、鳥山明さんは象徴的な天才といえると思います。

 彼の作品が存在した以前と以後で、世のマンガ作品がガラッと変わるような大きな影響を与えました。

 世界中のファンが彼を亡くしたことを悼み、市井のひとたちは、大きなイラストを描いたり、パリのサッカー場では、伝統の「サンジェルマン」と「マルセイユ」戦の中でも、ファンによる巨大なコレオグラフィー(ボードなどによる人文字)が形づくられました。

 世界中のメディアがこの訃報を報じ、国内の著名人はもちろん、フランスのマクロン大統領まで弔意をX(旧Twitter)で示しました。巨星が墜ちたことが広く偲(しの)ばれました。

 世の中が偉大な才能を失った悲しみに暮れるなか、私はある一筋の天才たちの系譜を見つけました。

●天才から天才へと才能のリレー

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