ハンコをつくっているシヤチハタが、なぜ“尿ハネに会える”商品を開発したのか
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月18日 8時10分
スタンキーを発売したのは、2004年のことでして。スマホはまだ発売されていないし、いまほどQRコードは普及していません。こうした状況を踏まえると、商品化が時期尚早だったんですよね。残念ながら、終売しました。
また、「テゼット」という商品も開発しました。特徴は、ボールペンに電卓が付いていること。小さなボタンが付いていて、それを押すと計算できるんですよね。電子手帳を搭載しているモデルもありましたが、これも発売したタイミングがちょっと早過ぎたのかもしれません。1980年代の後半に登場したので、まだノートPCを持ち歩いている人がほとんどいない時代でした。残念ながら、こちらも終売しました。
土肥: ふむふむ。確かにシヤチハタのこれまでの商品を見ると、「ん? これなに?」と感じられるアイテムがありますよね。ということは、今回の商品を開発したことは、社内の人間からすると「また、なにか新しいモノをつくっているよね」といった感覚なのでしょうか?
Mさん: ですね。文具の商品があって、サニタリーの商品がある。ものすごい距離を感じられたかもしれませんが、これまで「その間に」たくさんの商品を出してきました。試しにつくったものの、残念ながら世に出ないモノもたくさんありました。こうした背景があるので、社内では「いきなり突拍子がないモノがでてきた」といった感覚はないですね。
●何度も何度も2液を組み合わせた
土肥: ミエルモの商品ページを見ると、このようなことが書かれています。青色の着色剤と、消色剤が入った2つのボトルが連結されていて、トリガーを引くと2つの液体が混ざって噴霧する。
この混合液が尿ハネがないところに付くと、着色剤が消色剤に打ち消されて透明になる。逆に、尿ハネがあるところに付くと、消色剤が尿の成分に反応することで、着色剤の青色が消えなくなる。消色剤には洗浄成分が含まれているので、そのまま拭き取り掃除ができるというわけですね。面白いメカニズムだと思うのですが、開発にあたって大変だったところはどこになりますか?
南田: 着色剤は強い色素でなければいけませんが、消色剤と混ざったときはすみやかに消えなければいけません。開発の際、着色剤と消色剤をマッチングさせるわけですが、この組み合わせにものすごく時間がかかりました。もちろん、普段インキの開発を担当しているので、そこらへんの知見はあるのですが、最後はやってみないと分からないことが多いんですよね。
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