ハンコをつくっているシヤチハタが、なぜ“尿ハネに会える”商品を開発したのか
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月18日 8時10分
青色の着色剤ひとつとっても、たくさんの種類がある。似たような色でもさまざまな種類がありますし、性能も微妙に違う。消色剤と混ぜても、着色剤が消えないこともあれば、逆にすぐに消えることもあれば。1時間後に消えることもあれば、1~2秒で消えることも。理想は「10秒後に消える」でしたので、相性のよい2つを見つけ出すのに、ものすごく時間がかかりました。
土肥: どのくらいの期間でしょうか?
南田: 1年半ほどですね。同じことを何度も何度も繰り返して、それでもなかなかうまくいかない。そんな日々が続いたので、何度もくじけそうになりました。そうしたときにどのようにして乗り越えたのか。ちょっと青臭い表現になりますが、仲間の声ですね。僕がくじけそうになったときには、仲間のメンバーに励まされて。仲間がくじけそうになったときには、僕が声をかけて。
繰り返しになりますが、何度も何度も、着色剤と消色剤を組み合わせました。……えっ、マッチングの回数ですか? 1000回かな、いや2000回は超えているかも。ちょっと分からないほど組み合わせて、なんとか完成させました。
●あいまいなところに「商機あり」
土肥: ミエルモを完成させて、気付きなどはありますか?
南田: 私も自宅のトイレを掃除して、「きれいになった」と思っていました。しかし、この商品を噴霧することで、見えないところに汚れがあったんですよね。
当たり前のように掃除をすれば、当たり前のようにきれいになったと思っていました。しかし、きれいになっていないところはたくさんあったんですよね。普段、掃除をなにげなくしていましたが、実はあいまいなところがたくさんある。こうした発見は面白かったですね。
土肥: ということは、今回は尿ハネに関係する商品ですが、世の中にはまだまだあいまいなところはたくさんある。あいまいなところに「商機あり」という話になりますね。
南田: ですね。トイレ以外にも「あいまいなところ」を見つければ、次の企画につながるかもしれません。
(終わり)
【記者のメモ】
それにしてもシヤチハタの「これまでにはない商品を開発する!」という熱量には、驚かされた。原稿の中で触れていないが、ミエルモの開発にあたって、同社の技術力が大きく影響している。詳しい説明は省略するが、インキの分散技術や色素の使い方など、これまでの知見が生かされているのだ。こうした背景があるので、開発メンバーは“尿ハネに出会えた”のだろう。
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