集英社、講談社、小学館など、マンガ出版社の多くが非上場なワケ
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月20日 9時10分
なぜ、マンガ出版社の多くが非上場なのか
マンガ編集部を運営するうえで必要な考え方として、「我慢」や「目利き」という観点があります。
最近の大ヒット作品の中では、とある青年誌に連載中の『K(仮称)』という作品があります。この作品は、9巻~10巻くらいまでは連載作品としてはそれほど目立って売れた作品ではありませんでした。
しかし、この10巻前後で、作品の中に大きな変化があり、以降、誰もが知る大ヒット作品と呼ばれるようになりました。その後は、押しも押されもしない大作として、今や100巻までもう一声というところまで来て、単行本販売も映像化も絶好調を維持しています。もし、早々に連載を切り上げ、5巻あたりで打ち切りすれば、この大ヒットまで育ってはいなかったわけです。
この大ヒットを支えたのは、ヒットするまで待った「時間」であり、売れると信じた作品を売り切るためのプロモーションの努力を重ねる「我慢」であると思います。
編集部は「新連載を始める」という判断の裏で「今連載している作品を打ち切る」という苦渋かつ、大変難しい判断をする必要があります。これが、新連載を始めることと同じか、それ以上に重要です。
この判断の中には、単純にどんな作品でも長く続ければよいということではなく、作品の序盤を見た時に、この作品は伸び、この作家は育つという「目利き」があり、その「目利き」が連載を継続する「我慢」という判断につながります。
このあたりは、発行部数が多い編集部ほど、数字の信ぴょう性が増す分「アンケート」や「販売実績」に最終的な重きを置き、そうした数字が顕在化するまで時間がかかりやすいマイナーレーベルほど「目利き」の様子が強くなっていく傾向もあるようです。
紙の雑誌であれば、その誌面は限られます。Webなどで掲載するにしても、編集者の人数や労力は有限です。このリソースを連載継続に振るという判断は、編集者、編集長、場合によってはその上位組織が醸成する企業文化の中で培われます。
●マンガづくりに非上場企業が強い理由
こうしたマンガ制作における時間との向き合い方を知る組織のあり方として、いくつかの要素があります。
まず、集英社、講談社、小学館、白泉社、秋田書店など、老舗のマンガ出版社の多くは上場していません。これは、編集部組織の形成にあたっては非常に大きい要素と、私は考えるにいたりました。
この点については、各社の財務体質、オーナー企業やそのグループ企業であることなど、たくさんの要素があります。
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