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「テレワーク可能なのに、あえて出社」 この判断は、経営者の怠慢なのか?

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月12日 8時0分

 またテレワーク環境下では、新人に限らず、社員が孤立感を感じるケースが報告されている。「マイナビライフキャリア実態調査2021年版」によると、仕事や職場において「孤独感や孤立感を感じていた」と回答した割合が、テレワーク経験者で約2割と、未経験者の割合を上回っていたのだ。

3. 業務進捗管理や、組織カルチャー維持の難しさ

 管理職にとって、テレワーク環境では従業員の業務進捗やパフォーマンスを把握しにくくなる点が大きなネックとなる。勤怠状況を管理するツールがあったとしても、そこに表示される労働時間は単なるデータに過ぎない。

 対面で相手の様子をうかがったり、モチベーションを測ったりできず、直接的なフィードバックや進捗確認が困難な場合、チーム全体の関係性が希薄になり、組織としての一体感や連携が弱まってしまうリスクもある。

 インターネット広告やメディア事業を展開するサイバーエージェント社は、2020年4月の緊急事態宣言から1カ月半の間は全社リモートワークを実施したが、6月から通常出社体制に戻し、以降は「週3日出社、週2日テレワーク」の勤務形態を推奨している。

 同社社長の藤田晋氏はテレワークのメリットとして「オンライン会議の利便性、移動コスト削減、オフィス賃料見直し、通勤ストレス軽減」などを挙げながらも、デメリットとして「当社の強みである一体感、チームワークが損なわれ、極端な成果主義、個人主義に振らざるを得なくなる。これは当社の根本的なカルチャーと相性が悪く、強みが失われかねない」と述べていた。

●テレワーク可能な環境なのに、あえて出社させる会社は「経営者の怠慢」か?

 テレワーク経験者のテレワーク継続希望割合は非常に高く、今や求人広告においても「フルリモート勤務可」が差別化要因として売り文句になる時代となった。従業員側としても、一度テレワークの便利さを体験してしまうと、いくら実施までの猶予期間を設けられたところで、「再度出社せよ」との業務命令にはなかなか従いたくないというのが本音だろう。

 しかし冒頭で述べたとおり、米国テック大手企業を皮切りに「原則出社」体制への回帰の勢いはとどまることがなさそうだ。実際、KPMGインターナショナルが世界約1300人の企業経営者に実施した調査によると、3年以内に「従業員がオフィス勤務に完全復帰する」と答えた経営者が8割強に達しているという。

 原則出社方針に回帰しつつあるのは、米国大手テック企業にとどまらない。例えばコロナ渦中ではテレワークを取り入れたゲーム大手の任天堂も2024年3月に「原則出社の方針」を明確にした。

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