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地方中小で“進まぬDX”──伴走する地銀に立ちはだかる「4つの壁」

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月16日 8時0分

 金融庁総合政策局フィンテック参事官の清水茂氏は、これは金融機関にとっても意味があると指摘する。「資金繰り支援にとどまらず、付加価値の高い支援を提供することで、自らの収益基盤を強化することが重要」というのだ。つまり、地域企業へのDX支援は、地域金融機関自身の持続可能性を高めることにもつながるのである。

 さらに、経済産業省の河崎幸徳デジタル高度化推進室長(「崎」は「たつさき」)は、より踏み込んだビジョンを示す。「従来の間接業務のデジタル化支援にとどまらず、ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)の受託など、金融機関自身のビジネスモデル変革も視野に入れるべき」と提言しているのだ。

 例えば、取引先企業の財務会計業務をクラウド上で一括管理し、リアルタイムで経営状況を把握・分析するサービスを金融機関が提供したとする。これにより、金融機関は取引先の資金繰りや経営状態をリアルタイムで把握できるようになる。

 その結果、より精緻な融資判断が可能となり、企業の成長段階や経営状況に応じた迅速かつ適切な資金供給が実現する。さらに、AIによる分析を加えることで、経営危機の早期発見や、新たなビジネスチャンスの提案など、従来の金融機関の枠を超えた高度なコンサルティングサービスの提供も可能となるのだ。

 このように、地域金融機関がデジタルコンシェルジュとして機能し始めれば、地域経済の新たな成長モデルが生まれる可能性がある。

●地域企業のDXを支援する──各行の取り組みの現状

 地域金融機関によるDX支援の「夢」の実現に向けて、各銀行はさまざまな取り組みを始めている。

 山梨中央銀行では、まずは自行内のDX推進体制の構築に着手している。同行コンサルティング営業部の吾妻修治部長によると、DXプロフェッショナル人材、DXマネージャー、DXプランナーといった複数のカテゴリーでDX人材の育成を進めている。「銀行自身のデジタル化経験を地域に還元することで、より説得力のある支援が可能になる」

 具体的には、全営業店を巡回し、地域顧客向けのICTコンサルティングを実施している。吾妻氏は「営業店ごとの理解のバラつきをどう補正するか。DXへの理解を深めていく」と課題にも言及した。

 一方、岩手銀行は異なるアプローチを取っている。デジタル推進部の本城晋弥シニアマネージャーによれば、公募で選ばれた若手行員3人がDIGITALCAMPの研修を受け、ICTコンサルタントとして活動を開始した。

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