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「おにぎり屋は少額で簡単に始められる」は甘い 行列のできる老舗「ぼんご」代表が語った“素手”の哲学

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月24日 12時16分

「おにぎり屋は少額で簡単に始められる」は甘い 行列のできる老舗「ぼんご」代表が語った“素手”の哲学

行列が絶えない老舗「ぼんご」

 おにぎり専門店が増えている。

 おにぎりブームをけん引している、東京・大塚にある1960年創業の老舗「ぼんご」は連日、店の前に大行列ができる。もうこのような状態が、4~5年は続いており、6時間待ちの日もあるという。1日に売れるおにぎりの数はなんと約1500個になるというから、驚かされる。

 おにぎり1個の価格は350~700円、平均すれば400~450円で決して安くはない。しかし、大きさは通常のおにぎりの2倍ほど。米は新潟県関川村の岩船コシヒカリを使っている。驚くほどの具だくさんだから食べ応えがあり、人気を博している。コロナ禍でも、テークアウト需要があってほとんど影響がなかった。

 近年はぼんごで修業した人が、独立して成功する例も増えている。「ぼんご流」のふんわりした食感で、サイズの大きな具だくさんのおにぎりを、すし店のようなカウンターで握り、出来たてを提供する店が目立つようになった。

 主要な店には、東京だけでも板橋「ぼんご」、亀戸「豆蔵」、雑司ヶ谷「山太郎」など数多くある。ぼんごに類似した、いうなれば「インスパイア系」も増えている。大阪の「ごりちゃん」、福島県郡山市には大手外食クリエイト・レストランツが出店した「青田屋」などがある。

 ドイツで起業した猛者もいて、日本のおにぎり文化を伝えているようだ。ドイツのみならず、フランスに英国、米国などでもおにぎりが流行の兆しを見せている。グルテンフリーであり、具材次第でビーガンも食べられるファストフードとして、欧米の健康志向のトレンドに刺さっているようだ。その意味で、ラーメンやすしに続く、世界的な日本食として広がる可能性がある、有望な食べ物の一つである。

 コンビニでも、ぼんごにインスパイヤされた大きなおにぎりが目立つようになった。特にファミリーマートの商品にその傾向が強く感じられる。また、首都圏の駅前でテークアウトを主軸に展開する「おむすび権米衛」も店舗数を拡大しており、50店を超え好調だ。米国・フランスにも進出している。全国はおろか、世界へとおにぎり専門店が急速に広がっている。

 10月の平日朝に大塚のぼんごを取材した。午前9時にオープンする1時間も前から、仕込み中でシャッターが半開きになった店の前に、熱心なファンがパラパラと集まっている。取材を終えた午前10時ごろには、40人くらいの長い列になっていた。平日の午前中でこのにぎわいなのだから、土日祝の行列の程は推して知るべしだ。

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