「NHK受信料不要テレビ」 小売り各社が注力も、大手家電メーカーは“控えめ”なワケ
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月29日 7時10分
チューナーレステレビが注目を集めている(イメージ)
近年、動画配信サービスの普及により、テレビの視聴スタイルは大きく変化している。NetflixやAmazon Prime Video、Huluなどのサービスが一般的になり、若年層を中心に地上波放送を視聴しない層が増加している。その中で注目を集めているのが、「チューナーレステレビ」だ。
チューナーレステレビは、地上波放送を受信するためのチューナーを搭載せず、インターネット接続による動画配信サービスの視聴に特化したテレビである。2019年ごろから市場に登場し、「NHK受信料が不要になるテレビ」として話題になった。
ドン・キホーテが販売したチューナーレステレビはヒット商品となり、2023年9月時点で累計3万5千台以上が売れたとしている。ドン・キホーテのみならず、家電量販店やニトリ、山善といった異業種の企業も参入し、市場は今なお拡大を続けている。
しかし、チューナーレステレビに対する各社の取り組み方には「温度差」が存在する。チューナーレステレビの販売を積極的に推進する企業と、そうでない企業があるのだ。本稿では、各社のマーケティング戦略の違いに焦点を当て、その背景と狙いを探っていく。
●各社がチューナーレステレビに注力する理由
各社がチューナーレステレビに注力する理由は多岐にわたる。
1つ目に、価格競争の激化が挙げられる。チューナーレステレビは地上波チューナーを搭載しない分、製造コストを抑えることができ、従来のテレビよりも安価に販売できる。特にドン・キホーテは低価格戦略を強みとしており、チューナーレステレビでもその戦略を貫いている。
2つ目に、顧客ニーズの変化である。動画配信サービスの普及により、地上波放送を視聴しない層が増えている。特に若い世代を中心に、インターネット経由でコンテンツを楽しむライフスタイルが定着している。チューナーレステレビはこうした新たな顧客ニーズに応えている。
3つ目に、新たな収益源の開拓が挙げられる。家電業界はスマートフォンやタブレットの普及により、従来のテレビの需要が減少傾向にある。その中でチューナーレステレビは新たな市場を創出し、収益源として期待されているのだ。
4つ目に、店舗への集客効果である。チューナーレステレビを目玉商品として販売することで、店舗への集客力を高める狙いがある。特にドン・キホーテは来店客に「ついで買い」を促すことで、売り上げ全体の向上を図っている。
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