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「NHK受信料不要テレビ」 小売り各社が注力も、大手家電メーカーは“控えめ”なワケ

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月29日 7時10分

●事業の共食い化と新たな競争

 チューナーレステレビの普及は、家電業界において「事業の共食い化」という新たな課題をもたらしている。事業の共食い化とは、自社の既存製品やサービスが、自社の新規製品やサービスによって市場シェアを奪い合う現象を指す。

 従来のテレビ市場は、地上波放送の視聴を前提としていた。しかし、チューナーレステレビの登場により、従来のテレビの需要がさらに減少する可能性がある。これにより、既存のテレビメーカーや家電量販店は、新たな戦略を迫られている。

 大手家電メーカーからすると、チューナーレステレビよりも、大型の有機ELテレビといった、より高画質・高機能のテレビを売りたいはずだ。なぜならチューナーレステレビは低価格であるだけに利益も低く、より高単価な商品を売って利益を確保したいからだ。

 実際、各種ECサイトのチューナーレステレビの人気ランキングに、国内大手家電メーカーは見当たらない。そもそも取り扱っていないか、取り扱っていたとしても法人向けといった限定的な領域にとどまるからだ。

 一方で、ドン・キホーテやニトリのような異業種の小売り業者は、チューナーレステレビを「ロスリーダー」として活用することで、既存の家電量販店の顧客を奪取しようとしている。

 ロスリーダーとは、ある商品を原価を下回る価格で販売し、その商品単体では赤字になるが、他の商品も一緒に購入してもらうことで、全体的な利益を確保するマーケティング戦略だ。

●各社のマーケティング戦略と製品比較

 ドン・キホーテ、ニトリ、山善のチューナーレステレビに関するマーケティング戦略と、製品の特徴を詳しく見ていこう。

ドン・キホーテ

 ドン・キホーテは、低価格戦略と高回転率、そして衝動買いを促す陳列方法で知られている。チューナーレステレビにおいてもその戦略は一貫している。製品は幅広い価格帯で提供され、シンプルな操作性を特徴としている。また、豊富な品ぞろえにより、顧客の多様なニーズに応えている。

 ターゲットとしては、価格を重視する学生や一人暮らしの人々が中心である。マーケティング施策としては、「驚安価格」で他店よりも大幅に安い価格を打ち出し、顧客の注目を集めている。

 さらに、チューナーレステレビと他の家電製品をセットで販売することで、客単価の向上を図っている。定期的に限定モデルを発売し、話題性を作り出すことでも顧客の関心を引いている。

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