月1回の「週休3日制」の効果、売上は過去最高に 老舗黒板メーカーのやり方
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月21日 6時30分
サカワは、独自の週休3日制で成果を出している。写真はサカワ4代目社長・坂和寿忠氏
「働き方改革」の必要性が叫ばれるようになって久しい。ノー残業デーやフレックスタイム制など各社さまざまな制度を打ち立てているが、中でも注目度が高いのは「週休3日制」だろう。
週休3日制は主に「給与減少型」「労働時間維持型」「給与維持型」の3パターンに分類される。多くの従業員は、休みが増えて給与も維持という理想形の「給与維持型」を望むが、事業成長などに対する影響を懸念し、踏み出せない経営者も少なくないだろう。
そんな状況で、独自の週休3日制を導入し、着実に成果を出している企業がある。100年以上続く、老舗黒板メーカーのサカワ(愛媛県東温市)だ。
「業績が低下したり、トラブルが起きたり、有休消化率が落ちたりしたらやめる」と全社員に宣言し、2023年1~3月のテスト期間を経て、2023年4月から本格実施している。
サカワが採用したのは、全社員を対象にした月1回の週休3日制だ。休みは水曜日に固定。第1水曜日に休むチームと第3水曜日に休むチームの2チーム制にして、全社の休業日とすることは避けた。繁忙月に当たる1、2、5、8月は適用されないが、給与維持型で運用する。
効果も出てきている。導入初年度に当たる2023年は、過去最高売り上げを記録。社員の仕事に対する意識の変化も見られているという。家族や自分のための時間を確保できた社員も多く、独自の週休3日制に対する社員の満足度は高い。
独自の週休3日制を約1年半運用した効果について、サカワ4代目社長・坂和寿忠氏に話を聞いた。
●社員からは「本当にやるんですか?」の声も 独自の週休3日制の効果は
「コロナ禍を経て、会社に来て週40時間働けばよいという考えが薄れてきたと思います。少ない労力で大きな利益を生むには労働生産性の向上が不可欠。しかし『これをやったから生産性が上がりました』と効果検証をするのは難しい。そこで半強制的に生産性を上げる方法がないかなと考えて、月1回の週休3日制にたどり着きました」
「『給与減少型』『労働時間維持型』は当社には合わないと思いました。働き盛りのメンバーに休みを取らせ、その分の給与は引くという会社都合でのルールを強いるのは難しいです。一方で、1日の労働時間が増えると、家庭やプライベートの時間を削らなくてはいけない。しんどいですよね」
給与維持型の場合、働く時間は減るが給与は今まで通り。そこに「業績が低下したらやめる」という条件が付与されることで、短くなった労働時間内でどう売り上げや利益を上げていくかという生産性向上に社員の目が向くようにした。
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