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2人乗車はなぜ難しい? 超小型モビリティ「Lean3」が日本では1人乗り……残念な事情

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月1日 6時10分

 「具体的なことはまだ何も決まっていません。これから何をすればいいのか調べながら計画を作っていくような段階です」と、まさに手探りの状況らしい。

 これはほとんど前例がないことも大きいが、要は国交省の担当者のやる気のなさを、ここでも感じられた。なぜなら、国を挙げてこうした新しい乗り物を積極的に普及させようという姿勢があれば、担当者がこれから手探りで型式認定の取得を模索しなければならない、という環境にはならないはずなのだ。

 超小型モビリティは、少人数移動のための効率的な乗り物として、10年ほど前に日本でも関心が高まった。その後、自動車メーカーがコンセプトモデルを東京モーターショーで発表したり、中小企業が製品化を目指して試作車をいくつも登場させたりと、盛り上がりを見せた。

 しかし安全基準や保安基準など、制度化されるまでに時間がかかりすぎ、中小企業のやる気と体力を奪ってしまったのだ。

●超小型モビリティは日本で普及しにくい

 結果的に生き残れたのは、トヨタ車体が開発、生産する1人乗りの「コムス」くらいで、これは原付ミニカー登録によってファミレスやコンビニのデリバリー用途で使われている。

 超小型モビリティの区分には3種類あり、原付ミニカーもこの中に含まれてはいるが、これは以前からある制度であり、新しい要素や恩恵は何もない。

 元スズキのエンジニアが作り上げた「FOMM ONE」(フォム ワン)という4人乗りの超小型EVは、タイで販売され日本でも実証実験に使われた。それ以外にも、並行輸入車として50台余りが日本で販売されたが、こちらは軽自動車登録されたという。

 2人乗車で販売されたのは唯一、トヨタの「C+pod」(シーポッド)であるが、こちらは型式認定を取得した正真正銘の超小型モビリティだ。

 だが軽自動車より高い価格、狭い室内で、高速道路は走れない。しかもリース販売のみ(リセールを保証できない車種でメーカーがよく使う手法)で、とても一般ユーザーがメリットを享受できる乗り物ではなかった。自治体などが導入した例はあったが、3年間で2000台ほどしか売れずに販売を終了してしまった。

 国交省としては超小型モビリティとして法整備した以上、何らかの実績がなければ格好がつかない。トヨタが実績作りのために製品化したというのが構図として透けて見える。

 ともあれ、日本では軽自動車以下、オートバイ以上の乗り物はなかなか普及しにくい状況にある。それは新しい乗り物を制定する際に規格を定めるのが難しいことも大きな理由だ。

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