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2人乗車はなぜ難しい? 超小型モビリティ「Lean3」が日本では1人乗り……残念な事情

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月1日 6時10分

 国際基準では、こうしたマイクロEVはまだ統一されていないため、日本独自の規格を制定する必要があったのだ。そこでネックになったのは、おそらく2人乗車を実現するための安全基準の根拠だろう。

●2人乗車の安全性のリスクは?

 小さなボディで2人乗車は、衝突安全性に対する懸念が生まれるのは理解できる。しかし、2人乗車だからこそ安全となる要素もある。

 それは軽自動車と比べても絶対的に軽い車重という要素だ。車重が軽ければ、万が一に衝突したとしても衝撃は小さくなる。それもあって軽自動車や乗用車のメーカーは、衝突安全性のためにも車体の軽量化にいそしんでいるのだ。

 もちろん後方から追突されれば全長の短いボディは衝撃に弱いが、軽量な車体は前方へと滑っていくことで衝撃を緩和させることが期待できる。

 通勤用途であれば1人乗車でも十分なので、前述のコムスを通勤用に利用しているユーザーも存在する。あまり長距離では疲れてしまうし移動時間も長くかかってしまうが、片道1時間程度であればこれで十分事足りてしまうのだ。

 正直言って、ここまで超小型モビリティの型式認定が面倒なら、原付ミニカーの枠を拡大して「原付二種ミニカー」を制定すればいいのではないか、とさえ思ってしまう。たったこれだけのことで需要は爆発的に増え、さまざまなビジネスが湧き起こる可能性がある。

 CEATEC 2024の会場内には、特定原付で燃料電池のミニカーを開発していた企業もあった。

 なぜ原付ミニカーではなく、特定原付なのか。開発した企業のスタッフに尋ねると、「燃料電池の出力の問題もありますが、補助金によってユーザーの手が届きやすい価格を実現できるという狙いもあるんです」と戦略を明かしてくれた。

 手作り感満載の燃料電池の特定原付ミニカーは、水素充填(じゅうてん)ユニットが普及すれば、案外利用したいと思う向きもあるのではないだろうか。

●高齢ドライバーの移動手段に

 超小型モビリティに話を戻すと、これは高齢者の移動手段にも最適なモビリティと言える。動力性能は控えめで、車重が軽いので、万が一の衝突時にも衝撃は少なく、EVでシンプルな装備にとどめれば操作も簡単で覚えやすい。

 車幅が狭いので、狭い道でも曲がり角の通過やすれ違いも苦にならない。また衝突を回避しやすく、仮に逆走しても対向車は避けやすいはずだ。

 前述のFOMM ONEは、アクセル操作はハンドルにあるレバーで行うようになっていた。つまり、足で踏むのはブレーキだけで、踏み間違いの危険は少ない。超小型モビリティは操作系も刷新できる、新しい乗り物を生み出す領域なのである。

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