日産9000人削減の衝撃 「技術自慢の会社」ほど戦略で大コケする理由
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月13日 6時15分
2024年度の上期決算報告を見ると、営業利益がここまで激減したのは前年同期に比べて1945億円のマイナスとなった「販売パフォーマンス」の低下によることが大きい。これは中国市場と北米市場が主たる要因だ。
2023年度の小売販売台数を見ると、日本は48万4000台、北米は126万2000台、中国は79万4000台。それが今回の決算で発表された「2024年度見通し」でどうなるのかというと、日本はほぼ横ばいの48万台、北米はプラス6.2%の134万台、中国がマイナス13.1%の69万台となっている。
要するに、日本人よりもはるかに日産車を買っていた中国人にそっぽを向かれてしまっているのが、「販売パフォーマンス」の低下につながっているのだ。
●中国人にそっぽを向かれてしまったワケ
では、なぜそっぽを向かれてしまったのか。これは多くの専門家がさまざまな分析をしているが、共通して挙げられるのは「ブランド力の低下」だ。
かつて日産は中国に進出している日系メーカーの中で新車販売台数がトップだった。それをけん引したのが「シルフィ(SYLPHY)」というセダンだ。中国では「これぞ車」というセダン人気が根強いのである。
ただ、この成功をEVで再現できなかった。日産は2022年10月から世界戦略EV「アリア」を中国に投入したが、それが大コケしてしまったのである。
「やっぱり反日教育を受けている国だから日本車は苦戦するのでは」なんて思った人もいらっしゃるかもしれない。しかし、今回はそういうことではなく、シンプルに中国の国産EVと比べたとき「なんか違うんだよなあ」と違和感を覚える消費者がたくさんいたことが敗因だ。
さまざまなレビューを見てみると、アリアは中国人にとって「じゃない感」が満載だという。例えば、中国EVでは開放感のある大型パノラマガラスルーフにサッシュレスウィンドウ(窓枠のないドア)という未来感強めのデザインが人気だが、アリアは明らかに違う。
このような「じゃない感」強めの日本EVが中国で苦戦するのは当然である。発売早々、アリアは日本円で120万円近くの値引きに踏み切ったが、それでも販売は低迷した。この「安売りしても売れない」というのはブランドビジネスの「死」を意味する。当然、中国における日産ブランド全体が地盤沈下していく。
この深刻さは、2020年に稼働したばかりの常州工場を閉鎖したことが全てを物語っている。
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