1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

10年で売上倍増 エレキギターFenderトップに聞く、日本市場の開拓法

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月14日 10時56分

●エントリー層を重視

 ギター奏者ではなかったレオ・フェンダーが、業界標準となるようなギターを数多く輩出してきたのは、なぜなのか。ムーニーCEOは説明する。

 「『一生続くようなデザイン』という言い方をしたいと思います。英語で『Form Follows Function』(形態は機能に従う)と言いますが、エンドユーザーのために必要な機能を盛り込むことも意味します。多くのイノベーションを起こしてきましたが、特に1954年に発売したストラトキャスターのコアの機能(ラージヘッド、ビブラート・ユニット/トレモロアーム搭載など)は、現在のエレキの機能とほぼ同じなんですよ」

 商品開発の過程でプロの意見を徹底的に聞き、実際の製品に反映させるのは理にかなっている。しかし逆に言うと、それでは素人が使いこなせる商品は作れないようにも思われる。素人でも扱えるような商品をいかにして作るのか。

 「1956年にデュオソニックというギターを作りました。ショートネックにして体が大きくない人でも扱いやすいような形にし(弦を押さえても)指先が痛くないものを開発しました」

 デュオソニックはプロ向けに作られたギターではなかったものの、米国でカリスマ的な人気を博したロックバンドNIRVANAのカート・コバーンが初期で使ったり、日本のギタリストCharらが愛用したりしたという。素人向けである一方で、プロでも使える仕上がりの高さがフェンダークオリティーなのだ。 

 「フェンダーに入社したころは、素人向けの商品も売ってはいたものの、どちらかといえばプロレベルの商品に集中している傾向を感じました。私は新規の顧客にも重点が置かれるべきだと考えました。その上で、全てのレベルの顧客に対してきちんとサポートしていく流れが重要だと考えたのです」

 裾野を広げることによって結果的に音楽業界のレベルを引き上げ、顧客も増えるという好循環を生み出せたということだ。例えば、ギター奏者とコラボするシグネチャモデルは、ファンに買いたいと思わせる意味で、ライト層の顧客を獲得することや、裾野を広げることに狙いがあるようにみえる。

 「シグネチャモデルを実際に開発した事例として、2000年代のロックシーンをけん引したザ・ホワイト・ストライプスのリード・ボーカリストだったジャック・ホワイトの例があります。(アコースティックギターとエレクトリックギターを融合させた)アコスタソニックは今までにないユニークなギターを世に送り出すことができましたが、それは彼が『こういった機能がほしい』など機能面のリクエストを明確に言ってくれたからです。あわせて新たな製造技術を作り出すこともできました。私たちがシグネチャモデルを重要だと考える理由の1つです」

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください