生クリーム9割の「スイーツ缶」、なぜ人気? がむしゃらに売らず30万缶突破の秘密
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月28日 6時15分
スイーツ缶「なまくり」が人気
容量330mlのうち、9割が生クリームでできたスイーツ缶「なまくり」(850円)がじわじわと人気を集めている。SHIBUYA109をはじめ、関東、大阪、札幌に設置した自販機(全9台)とオンラインで扱っており、2022年4月の販売から2年半で累計販売数は30万缶を超えた。
同商品を開発したのは、リクーム社(東京都練馬区)の社長・井上拓海氏である。元料理人であり、全国的に展開するパン屋「小麦の奴隷」の開業・運営経験を持つ人物だ。
「高級な生クリームを気軽に食べられるスイーツをつくりたい」という思いから商品化したというが、9割が生クリームというニッチな商品で、どのように人気を広げてきたのか。井上氏に「なまくり」の販売戦略と反響を聞いた。
●1缶850円、9割が高品質の生クリーム
「なまくり」は、330ml缶のうち9割をふわふわに泡立てた北海道産の厳選された生クリームが占める。よりリッチで香り豊かな風味にするため、隠し味にマスカルポーネを加えている。残り1割は、九州産の小麦と純国産卵を使用したキューブ状のスポンジケーキ。一般的なホールケーキ1個分に相当する量の生クリームを1缶に詰め込んだ、「生クリーム推し」のためのスイーツだ。
井上氏は毎日生クリームを食べるほどの生クリーム好きで、100回以上の試行錯誤を繰り返し、生クリームだけで満足できるようなスイーツを開発。スイーツ缶として自販機で販売することにしたのは、「スイーツ好きの男性が非接触で気軽に買えるように」との狙いから。
ターゲットは年齢・性別を狭めず広く捉えていたが、男性はスイーツを楽しむカフェなどに一人で入りづらい。また、コロナ禍により非接触で購入したいニーズも高まっていた。
一方、商品の認知を広げる入口の段階では、20代の若年女性をターゲットに据えた。男性は口コミで広げるという文化が薄いので、まずは女性に多く購入してもらって、口コミで人気を広げたいと考えたためだ。
2022年4月にSHIBUYA109内で販売したところ、テレビ取材が入ったり、インフルエンサーに紹介されたりして認知や人気が向上。1年以内に販売数が10万缶に達した。
「無名企業の商品でしたが、おいしい生クリームを多くの人に食べてほしいという熱意が伝わり、SHIBUYA109内で販売できることになりました。他のエリアでも人気を獲得できただろうという自信はありますが、これだけ短期で認知を得られたのは流行の発信地である渋谷からスタートできたからだと思います」
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