なぜユニクロの柳井氏は「ウイグル綿花問題」を語ったのか 中国で炎上しても、“あえて”発言した理由
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月4日 7時26分
きっかけは昨年、英国在住のインフルエンサーがユニクロのラウンドミニショルダーバッグを紹介したTikTokが話題を呼んだことで、EU圏でユニクロ人気が上昇。2024年4月、英国エディンバラに出した店舗は午前4時から約700人が開店を待った。
このようなユニクロブームについて、米国の経済誌『FORTUNE(フォーチュン)』は、コロナ禍のリモートワークからリアル出社に切り替わり、ファッションも仕事とプライベートの両面を意識しなくてはいけなくなった欧州のZ世代が、ユニクロを評価し始めたと分析している。
そんなブランド価値爆上がりの欧州は、これからユニクロが世界一のアパレル企業になるために必要不可欠なマーケットと見ているのだ。
●グループ全体で10兆円を目指す
先ほど紹介したように2024年8月期、欧州で大躍進した結果、ユニクロはグループ全体で初の売り上げ3兆円を突破した。しかし、柳井会長の野望はこれで終わらない。決算会見の場で、毎年5000億円ずつ売り上げを伸ばして、いずれ10兆円を目指すと宣言したのである。
なぜこんな強気な目標が立てられるのか。「欧州」の存在である。
日本のインバウンドにもいえることだが、欧州の消費者は購買力が高い。それは欧州ユニクロの売り上げを見ても明らかだ。
欧州には2024年8月末時点で76の店舗がある。売り上げ高は2765億円なので、1店舗当たり36億円稼いでいることになる。一方、日本は797店舗で売り上げ高が9322億円なので、1店舗当たり11億円。「稼ぐ力」が3倍以上なのだ。
実際、2023年9月~24年2月期の間で、ユニクロ店舗(全世界)の売り上げ高ランキングを見ると、トップ10の中に欧州店舗が4つも入っている。
つまり、このまま「稼ぐ力」のある欧州ユニクロが順調に成長して、ZARAやH&Mなどのポジションを奪うことができれば、柳井会長が掲げる売り上げ10兆円も夢ではないということなのだ。
●成長の足かせになる大きなリスク
しかし、この中長期ビジョンには大きなリスクが一つある。ここまでいえばもうお分かりだろう。そう、「新疆ウイグル自治区の綿花」である。
先ほど紹介したように、この人権問題は西側諸国のメディアが火付け役であり、西側諸国の消費者も人権問題への関心が非常に高い。欧州で確固たる地位を築くには、これまでのような「ノーコメント」では済まされない。強制労働でつくられたファッションという疑いの目で見られたら、積み上げてきたブランドイメージは一気に地に落ちる。それどころか商売自体ができなくなる恐れもある。
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