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なぜユニクロの柳井氏は「ウイグル綿花問題」を語ったのか 中国で炎上しても、“あえて”発言した理由

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月4日 7時26分

 どうにかしてこのいけすかない日本企業の快進撃を止めようと思った時、「新疆ウイグル自治区産の綿花」をボイコットしている欧州アパレルがとるであろう「攻撃」は一つしかあるまい。

 欧州メディアに「最近人気のユニクロはどうやら人権侵害に加担しているらしい」と情報提供をして、ノーコメントを貫くユニクロを追及すれば、人権意識の高い欧州の消費者はそっぽを向く。ブランド価値も大きく毀損(きそん)するというシナリオだ。

●「欧州と中国のどっちに良い顔をするか」問題

 そこに加えて、2025年1月にドナルド・トランプ氏が大統領に返り咲くことも無関係ではないだろう。

 ご存じのように、トランプ氏は北朝鮮の金正恩総書記を「ロケットマン」と呼ぶなど、公然と人をバカにするような予測不能の爆弾発言が持ち味だ。就任早々、中国へのけん制として、ウイグル綿花を用いたアパレルに対して「強制労働ファッションは米国に入れない」なんてことを言い出す可能性もゼロではない。

 つまり、欧州ビジネスを是が非でも成功させたい柳井会長にとって、「新疆ウイグル自治区産の綿花は使ってません」宣言をするには、今がギリギリのタイミングだったというわけだ。

 もちろん、これは全て筆者の憶測である。ただ、ユニクロが10兆円の売り上げとアパレル世界一を目指していくためには「中国と欧州のどっちに良い顔をするか」問題に、やはりどこかで向き合わなくてはいけない。

 ユニクロとしても中国を捨てることはできない。柳井会長は「中国が重要な市場である」ことはたびたびアナウンスしているが、それ以上に欧州での地位も重要なのだ。

 だから、中国の売り上げが大きく落ち込むことがあっても、ここで欧州の消費者から嫌われるわけにはいかないのだ。

 このようにグローバル企業は、絶妙なバランス感覚の中で成長を目指さなくてはいけない。実は国も同じで、「あの国は反日だから付き合えない」「国交断絶だ!」と叫んでいるだけでは、国力は衰退していくだけだ。

 1984年に1号店を出してから40年で3兆円企業に育てた天才・柳井会長が、欧州と中国という2つの巨大市場の間でどのような「ブランド外交」を進めていくのか。ビジネスパーソンはもちろん、政治家の皆さんもぜひ学んでいただきたい。

(窪田順生)

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