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新幹線が止まったらどうなる? JR東海の事故対応を取材してきた

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月14日 9時16分

新幹線が止まったらどうなる? JR東海の事故対応を取材してきた

新幹線が止まったらどうなる? 日常では見られない訓練の様子

 JR東海が11月7日、東海道新幹線の総合事故対応訓練を報道公開した。この訓練は毎年1回、東海道新幹線の車両基地で実施されている。JR東海と同グループの社員のほか警察官も訓練に参加し、不審者対応訓練も実施した。また新幹線を運行するJRグループ各社からも見学者が訪れ、障害対応技術の交流の場になっているようだ。

 2024年の会場となった「三島車両所」は静岡県三島市にあり、東海道新幹線三島駅に隣接している。訓練会場は線路12本ぶんの留置線区域で行われた。面積を地理院地図で計測したら約4万平方メートルだ。700人以上の参加者がいても、まばらに見えるほど広い。普段ここに留め置かれている車両たちは運用などを変更し、この日は別の基地などに退避しているわけで、周到な準備が行われたことが分かる。

 私にとっては初めての見学となったけれども、説明を聞くと「いままでの事故復旧とは考え方が変わってきている」と感じた。分かりやすくいうと「1日でも早く本復旧」はもちろんだが、「1分でも早く仮復旧」に力を入れている。

 幸いなことに新幹線の事故は少ない。それだけに「鉄道事故」といわれてもピンとこない。しかし、IT技術者向けに例えるなら「新幹線が走らない」は「情報が届かない=ダウンタイム」であり、事故復旧は「障害対応」にあたる。インフラをきっちりと立て直すことは重要だけれども、障害対応はスピードが大切だ。東海道新幹線はダウンタイムを短縮するためにどのような訓練をしているか、という視点になると身近に感じると思う。

 今回の訓練内容は次の21項目だった。このうち太字が報道公開された。JR東海が特に広めてほしい訓練である。列挙する順序はJR東海の提供資料による。

・VR・映像を用いた重大労災体感訓練

・警察と連携した不審者対応訓練

・転てつ器不転換発生時の手動転換・鎖錠金具取り扱い訓練

・盛夏期に停電が発生した際の対向列車を用いた救援訓練

・巨大地震発生を想定した脱線復旧訓練

・駆動回転系不具合を想定した搬送仮台車装着訓練

・車両状態の判断力向上を目的とした異音・異臭・振動体感訓練

・集電系部品不具合を想定した救援パンタグラフ装着訓練

・長時間停電を想定したバッテリー使用によるサービス機器訓練

・巨大地震発生を想定した線路・脱線防止ガードの点検訓練

・酷暑によるレール温度上昇時の対応訓練

・分岐器におけるレール損傷発生を想定した応急処置器取り扱い訓練 

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