1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

2.5次元ブームに湧く舞台ビジネス 鈴木おさむ最後の脚本『ブルーサンタクロース』の狙い

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月15日 8時28分

 「長く続けているうちに、飲食しながら観劇するスタイルにも抵抗がなくなってきて、昔の基準から言えば多少チケットが高くても売れています。2023年は8000円だった椅子席も、軽食を付ける形にして1万2000円に値上げしました。しかし、すぐに売り切れました。いままでためてきたノウハウを運営にかなり生かせています」(堀江氏)

 過去6回にわたって公演した『クリスマスキャロル』を、今年は『ブルーサンタクロース』に変えた。この作品の脚本は元・放送作家の鈴木おさむ氏が書き下ろしている。鈴木氏は2024年3月末で放送作家業と脚本業からの引退を表明しており『ブルーサンタクロース』が最後の舞台脚本となるという。

 完全新作の劇となっていて、これまでの『クリスマスキャロル』ではできなかった工夫をした。『ブルーサンタクロース』の演出を手掛けたウチクリ内倉氏は「新たな観劇の在り方に合わせた演出を心掛けた」と話す。

 「お客さんには演劇の開始から食事を楽しんでもらえる内容のため、前半部分はあまりドラマティックな展開にしていません。テレビ番組仕立ての掛け合いなどもあり、飲食をしながら気軽に楽しんでいただける演出を心描けました。皆さんの食事が終わる中盤から終盤近くになると、ドラマが一気に動き出し、観客が物語に引き込まれるような構成にしています」(ウチクリ氏)

●全体の半分弱を占めるクリスマスJ-POP

 全体で2時間弱の公演時間のうち、半分弱がミュージカルパートで占められている。その楽曲には山下達郎「クリスマス・イブ」や松任谷由実「恋人がサンタクロース」、稲垣潤一「クリスマスキャロルの頃には」、レミオロメン「粉雪」など、J-POPを代表するクリスマスソングを配した。

 「全体のうち約55分をJ-POPを歌うパートにしています。普段ミュージカルや演劇を見にこない人でも楽しめるように、誰もが知っているJ-POPを積極的に取り入れました。通常、ミュージカルはせりふをそのまま歌わせるのですが、今回は既存の歌詞を歌わせるため、歌詞と劇の流れを合わせる部分が悩みどころでした。この演出はもともと鈴木おさむさんの脚本にはないものなので、この部分を考えることが特に大変でしたね」(ウチクリ氏)

 主演のブルーサンタクロース役を務めた堀江氏も、「普段演劇を見にこない人たちを見にこさせるにはどうしたらいいか。役者としてだけでなく、せりふなど演出面もウチクリさんと一緒になって考えた」と振り返る。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください