苦情が「半減」 NEXCO東日本のコールセンター、どのように「利用者の声」を聞いている?
ITmedia ビジネスオンライン / 2025年1月28日 9時0分
「当センターはIVR(※)を導入しておりませんので、電話を取った時点ではお客さまの問い合わせ内容は分かりません。何を聞かれるか分からない状態でも電話にでなければらない。問い合わせの内容も道路工事から乗り放題プランまで多岐にわたるため、勉強したり覚えたりすることが非常に多いです。結果、『こんなに難しいなら無理です』と辞める方が非常に多かったです」
※Interactive Voice Response(自動音声応答システム)。あらかじめ入力された情報に基づいて顧客の電話対応を行うシステム。また問い合わせた利用者自身が音声に従いプッシュ番号を押すと担当オペレーターにつながるシステムを指す。
特にコロナ禍以降、労働力人口の減少に伴い、求職者側が仕事を選びやすくなった。コールセンターのような個別対応が求められる仕事はハードルが高いと感じ退職を選ぶ人も少なくなかったようだ。自動音声ソリューションにより回答内容が表示されることで、問い合わせ対応に対する精神的なハードルが下がったことが分かる。
竹川氏は次の挑戦にも目を向けている。生成AIだ。2024年9月、導入しているチャットボットでの生成AI活用を開始した。
利用者は自身の疑問に合致する選択肢をチャットボットが提示する中から選んでいく。最終的にチャットボットが利用者の問い合わせに応じた回答を表示するわけだが、そこでの会話カードの適切さを生成AIが見抜きアドバイスするという仕組みだ。
「コミュニケーションにおける過不足を指摘してもらうイメージです。その他、フリーワード入力にも対応しています。お客さまが求めている情報に一番近しい回答を用意されたものの中から自動で返信するのですが、『もっとこういう情報を盛り込んだ方がいい』といったフィードバックを生成AIからもらっています」
生成AIのアドバイスを踏まえて改善に向けて動いている案件もあるという。
「お客さまからチャットボットに『乗り放題プランを申し込んだが、申し込み完了メールが届かない』という問い合わせがあったのですが、チャットボットは『メールが届かない理由』に焦点を当てて返信していました。お客さまが知りたいのはメールの有無ではなく、申し込みが完了しているのかどうかなので、その点の改善を生成AIから提案されました。実際に直す話になっています」
消費者は日々の生活において享受するサービスが「スムーズで快適なこと」に慣れている。コールセンターでの保留やチャットボットの少しズレた回答をストレスに感じる人もいるだろう。コールセンターはDXや生成AIで大きく業務や働き方が変わる現場の一つだ。テクノロジーを武器にどんどんシナジーを生み出していってほしい。
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