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「カヌレ」はなぜ定番スイーツ化していったのか? ローソンやスシローで大ヒット 「進化系」も登場した背景

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月19日 6時10分

 その後、反響を呼び、全国のドンク店舗にカヌレを求める顧客が押し寄せてブームになった。ドンクに続く形で、各地のベーカリーや洋菓子店がこぞってカヌレ販売を始めることになる。ちなみにドンクはカヌレ協会日本支部に入会しており、本部から贈られた「本物のカヌレを売る店」としての認定証も店内に掲示していた。

 なお、1990年代には、フランスの高級ブーランジェリー「ポール」が上陸、フランス人オーナーの三重県鈴鹿市「ドミニク・ドゥーセの店」がオープンするなどしている。これらの店も第1次ブームに絡んでいると思われる。

 カヌレブームは一旦落ち着くが、再ブームのきっかけになったのが大阪府箕面市にある「カフェエズ」の「箕面カヌレ」だ。フランスのレストランで働いていたオーナーが、現地でレシピを習得したといい、大阪市内に姉妹店を相次いでオープンしてカヌレ復権ののろしを上げた。

 さらに「カヌレ復活」を決定付けたのは、兵庫県芦屋市に本店がある洋菓子店・ダニエルだ。小さめのサイズかつ色とりどりで、見た目がかわいらしく写真映えするカヌレのスタイルを確立。2011年に先述のルクア大阪に出店すると、カヌレに集中した品ぞろえで連日行列となる繁盛店になった。現在は系列店を含めて3店舗を展開。味はプレーン、カカオ、抹茶、いちじくくるみなどを用意。1人20箱限定で販売している。

 その他、2012年に大阪市内の桜川で開業した「カヌレ堂」も人気だ。定番のカヌレは小ぶりで、緑茶にも合う「和カヌレ」という新機軸を打ち出した。

●コロナ禍の「プチぜいたく」機運が追い風に

 阪神間で人気となったカヌレは西進し、2013年には福岡市に「ラ・スール」、2017年には広島市に立町カヌレなどの専門店が誕生。両店は後述する名古屋のカヌレとアイス、新潟の「カヌレドキャンティ」などとともに東京に進出し、東京でもカヌレブームをけん引していく。

 ラ・スールは博多阪急に1号店を出店。これが人気となり、大阪や東京、京都に勢力を拡大していった(現在の常設店舗は福岡本店、大阪、京都の3店)。同店のカヌレは1個500円ほどと高価で、中のもっちり感を際立たせた「生カヌレ」が有名だ。担当者は「コロナ禍では特によく売れた。ステイホームで旅行に行けない代わりに、少し高いスイーツを買って、家で非日常的な時間を過ごしたかったのではないか」と話す。

 2017年には、広島市で洋菓子店を営むカスターニャが市内にカヌレ専門店「立町カヌレ」をオープン。大サイズの王道カヌレを中心に、中サイズや季節限定品も販売している。広島産のレモンやブルーベリーを使った、ご当地カヌレも魅力だ。

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