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スポーツカーに未来はあるのか “走りの刺激”を伝え続ける方法

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月20日 6時10分

スポーツカーに未来はあるのか “走りの刺激”を伝え続ける方法

やっぱり、スポーツカーはオワコンなのか

 この先、ガソリン車で運転が楽しいクルマはなかなか作れない。トヨタのスープラは生産終了となり、GR86はドイツで販売が終了したとのことだ。どちらも欧州で厳しくなる衝突安全基準に対応することが難しいのが理由のようだ。

 少し前の話になるが、ホンダの軽ミッドシップスポーツ、S660も騒音規制などへの対応が難しく、生産を終了した。

 普通のクルマ、例えばミニバンやSUVであれば、その時点の規制に合わせて開発や変更を行うことが(当然、内容にもよるが)それほど難しくはない。デザインやエンジン性能は、保安基準や排ガス規制をクリアした上で決定される。しかし、スポーツカーとしてデザインし、走行性能を追求するとなれば、ユーザーの期待値もありハードルは上がってしまう。

 その一方で、ネットニュースでも自動車雑誌でも、スポーツカーの復興を取り上げる記事は相変わらず多い。それが自動車雑誌を長年愛読してきたユーザーに響くのは納得できるが、果たしてスポーツカーの売れ行きにどれほど影響を与えているかというと、難しいところだ。

 それくらい、スポーツカーはクルマ好きの関心を集めるが、それを購入して長く維持し続けることは難しい。スポーツカーはクルマの軽さや運動性能を重視しているため実用性が低く、乗り回せる環境が限られている。

 若い頃にスポーツカーを楽しんだクルマ好きも、子育て世代になれば実用的なクルマに買い換えることを余儀なくされるものだ。しかし子育てが終わり、自分の時間が持てるようになると、再び趣味のクルマとしてスポーツカーを手に入れる向きも少なくない。

 だが、今後はそうした選択肢も失われる可能性が出ているのである。

●変わっていくスポーツカーの定義と、変わらぬモノ

 技術の進化や交通状況など環境の変化により、スポーツカーの定義も変わってきている。

 スポーツカーはクルマが普及し始めた1950年代頃に誕生したが、それ以前はレーシングカーをベースにして公道を走れるようにしたものしかなかった。価格もさることながら、性能面でも誰もが乗りこなせるものではなかった。

 スポーツカーはクルマ好きが運転を楽しめるモデルとして英国で誕生し、欧州の自動車メーカーが追随して米国市場で1つのカテゴリーを築き上げた。そうしてスポーツカーは市民権を得ていった。

 信号や交通渋滞が少なく、郊外との往来も容易だった頃は、それほど快適性や利便性を気にすることもなく、スポーツカー本来の機能だけで走りも堪能できる時代だった。しかし、都市に高速道路網が発達して便利になった半面、郊外までの距離がさらに遠くなって渋滞も頻繁に発生するようになった現代では、気候変動もあってエアコンなしではとても耐えられない。

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