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「無料」を打ち出す企業も! 「進化系コインランドリー」が続々登場 洗濯のエンタメ化が進む背景

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月23日 5時55分

 同店にはこのように「洗濯時間を楽しむ工夫」があちこちにありますが、一番の売りはコインランドリーの質そのものにこだわっている点でしょう。大型のガス乾燥機や大型洗濯乾燥機が複数台あり、セルフ式のコインランドリーは24時間営業。スタンダードコース(洗濯・乾燥)は1100円からで、羽毛布団やアウトドアメーカーのモンベルと共同開発したという「モンベル撥水コース」(1700円)というメニューまであります。洋服から寝袋まで洗濯が可能で、充実しています。

 同社はフランチャイズ(FC)展開によって、店舗網を全国に拡大しています。現在260店舗(12月時点の開店予定店舗含む)以上まで拡大できているのは、洗濯時間を楽しい時間に変えていく取り組みを本格的に実施しているからでしょう。同社の基本的な収益シミュレーションによると、開業3年で1店舗につき年間売上1200万円、営業利益400万円。利回り10~14%と比較的効率の良い事業に仕上げている点も注目です。

 同社の店舗展開やブランドづくりを見ると、昨今コインランドリーが増えている理由が何となく理解できます。

●クリーニング市場が落ち込む半面、コインランドリーは成長中?

 筆者は2020年に『コロナ禍で服の“クリーニング離れ”が深刻化 成熟市場でも消費者の心をつかむために必要な3つの視点とは』という記事を書いています。当時はコロナ禍の真っただ中でリモートワークが増え、ワイシャツやスーツを着る機会が激減し、クリーニングの利用回数が減少していた時期です。その後、クリーニング市場はどうなったのでしょうか。

 クリーニング店舗数は2020年以降も減少が続いています。2023年時点で全国のクリーニング店は7万676店。2009年から見ると6万店舗以上(取次所も含む)の減少です。

 店舗数の減少は、消費者のクリーニング利用とともに支出が減っていることが一番の理由です。マーケットサイズ(MS:1人当たり年間消費支出金額)を見ると、2023年は4712円でした。コロナ禍の2021年(4219円)と比較して増加に転じてはいますが、2019年比で1200円以上減っています。

 コロナ禍でワークスタイルとともに仕事の服装が変わり、クリーニングへの支出が減少したのです。これに加えてクリーニング事業者は個人経営が多く、95%が従業員4人以下の零細企業です。経営者の50%以上が70代以上という高齢化が進んだ業界であるため、新しいことに挑戦する雰囲気がないのも市場の縮小に影響しているでしょう。

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