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シャープの「ヘルシオ トースター」が登場 強豪だらけの市場で、“3倍需要”の背景

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月23日 6時15分

 一方で、高級トースターの領域に絞ると、ヘルシオの印象は薄くなる。高級トースターの代名詞ともいえるのは、バルミューダが2015年に販売した「BALMUDA The Toaster(バルミューダ ザ・トースター)」(公式サイトで3万3000円)で、累計販売台数は国内外で180万台(2022年末時点)を超える。

 何度かリニューアルを重ねて2023年10月に販売した最新製品は、スチームテクノロジーと、より細やかになった温度制御でパン本来の味と香り、焼きあげ時における食感のコントラストを最大限に引き上げるよう設計されている。2024年2月に販売した「ReBaker」もパンの調理にこだわり、焼き立てを再現するリベイクモードなどを搭載する。

 ツインバードの「匠ブランジェトースター」も、常温・冷凍のさまざまなパンを全自動でリベイクする機能に特化。温度センシングと独自の火力調整プログラムで温度バランスを実現し、パンのおいしさを引き上げる。

 パン職人の世界大会「iba cup」で総合優勝経験を持つパン職人の浅井一浩氏が監修を務め、約3年の開発期間を経て誕生した自信作だという。発売から3カ月弱で年間の目標売り上げ台数を達成し、これまでに2万台以上を販売、想定以上のヒットになっているようだ。

●競合とどう戦うのか

 各社が「究極においしいパン」を目指して妥協なしの製品を販売するなか、ヘルシオ トースターはどうやって支持を獲得していくのか。

 「高級トースター市場がチャレンジングであるという認識はあります。一方で、当社製品の優位性は、過熱水蒸気を使ってパンの内部に水分を閉じ込めるため、時間がたっても乾燥しにくく最後の耳までおいしく食べられること。かつ、好みの焼き加減の選択ができることです。この点を訴求して、実際に体験してもらえる機会を多くつくることで価値を伝えていけたらと考えています」

 シャープは2024年10月に、期間限定で「HEALSIO CAFE(ヘルシオカフェ)」をオープンし、ヘルシオ トースターで焼いたパンを提供した。また、量販店でも販売員向けに製品の体験イベントを実施し、好評を得たという。

 そうした戦略が功を奏したためか、予約販売でも一定数を売り、結果的に当初の月産台数2000台を約3倍に増産している状況だ。

 今後のマーケティング施策として、庫内が過熱水蒸気で満たされた後、パンが焼き上がる特徴的な様子を再現した展示を行ったり、製品利用者の体験談を公式サイトやSNSで発信したりして、価値を訴求していく方針だという。

 「体験してもらうと価値を実感してもらえることが多く、『こんなにおいしいパンは食べたことがない』という声もありました。現状は、同製品を体験された店員の方のおすすめで購入を決める、またはヘルシオ グリエを利用していて新製品も購入するという方が目立ちます」

 幅広く認知と信頼を得ている「ヘルシオ」ブランドを押し出しつつ、体験価値を丁寧に届けていくことができれば、ヘルシオ トースターは高級トースター市場で存在感を発揮する製品になるかもしれない。

(小林香織)

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