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「ホンダ+日産=世界3位」素直に喜べない理由は? パワー半導体をめぐる“次の競争”

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月25日 6時20分

 実はホンハイは中国とビジネス的なつながりが強い。「経済安全保障」を掲げる経産省としては、国の基幹作業である自動車を、中国に近い企業に取られてしまうことにかなり抵抗があるという。

 ホンダとくっついてくれればこれほどありがたい話はない。しかも、日本は自動車メーカーが乱立しており、経産省としても国際競争力向上のために「連携」を呼びかけていたので、渡りに船ともいえる。

 そこでこれを既成事実化させるため、「御用聞き」的なマスコミを用いて、「資本提携サイコー」の世論をつくっているとの見方もある。

●経産省の本当の狙いは

 ただ、実は経産省のエリートたちが「ホンハイ買収阻止」を応援しているのは、「対中国」だけではない。日産を奪われてしまうと、日本はある分野での戦いで、「惨敗」を喫する恐れがあるからだ。

 その分野とは「パワー半導体」だ。

 「産業のコメ」といわれる半導体の中でも、ロボットやドローン、EVなどになくてはならないパワー半導体はこれから急成長確実な分野で、世界はここの覇権を握るために熾烈(しれつ)な争いをしている。

 英国の調査会社オムディアによると、2023年におけるパワー半導体の世界シェア1位はドイツのインフィニオン・テクノロジーズ(Infineon Technologies)、2位が米国のオン・セミコンダクター(ON Semiconductor)、3位がスイスのSTマイクロエレクトロニクス(STMicroelectronics)である。

 中でも特筆すべきは「パワー半導体の巨人」と呼ばれるインフィニオン・テクノロジーズだ。2位のオン・セミコンダクターの2倍以上となる圧倒的なシェアを誇っており、世界各国の自動車メーカーにパワー半導体やチップを供給している。2024年2月にはホンダとも戦略提携を締結した。

 われらが「日の丸半導体」はどうかというと、4位に三菱電機、5位に富士電機、8位にローム、9位に東芝となっている。

 「トップ10の中に4社も入っているなんて、スゴいじゃないか」と思うかもしれないが、なかなか微妙なのはこの4社を全てまとめても、1位のインフィニオン・テクノロジーズのシェアに届かない。「巨人」の背中さえ見えない状況なのだ。

●パワー半導体に多額の補助

 とはいえ、先ほども触れたように、これからの時代、パワー半導体を自国で生産できない国の先行きは暗い。そこで「経済安全保障」を掲げる経産省がテコ入れに動いている。

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