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「ホンダ+日産=世界3位」素直に喜べない理由は? パワー半導体をめぐる“次の競争”

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月25日 6時20分

 例えば2023年12月、東芝とロームがパワー半導体を共同生産すると発表した際に、経産省は両社の事業総額3883億円の中で最大1294億円を補助した。

 11月29日にも半導体企業などに最大1017億円を助成すると発表したが、中でも突出して多かったのは、デンソーと富士電機のSiC(炭化ケイ素)パワー半導体関連の最大705億円だった。

 さらに日本政府は、これらの企業に「連携」を呼びかけている。各社シェアが小さいので、束にならなければ、パワー半導体の巨人であるインフィニオンの背中すら追いつけないからだ。

 このように官民一体となって、パワー半導体競争を勝ち抜こうとしているわけだが、そこに大きな脅威となっているのが「ホンハイの日産買収」だ。

 一見すると、全く関係のないこの2つは、実はかなり深く関わっている。順を追って説明していこう。

●ホンハイが日産買収に動いたワケ

 そもそもホンハイは、iPhoneの受託生産で成長を遂げたEMS(電子機器受託製造サービス)の世界的企業だ。しかし、近年は成長の柱だったiPhone組み立て事業の売り上げ高伸び率が鈍化していた。そこで次なる成長エンジンとして注力しているのが、EVのCDMS(Contract Design and Manufacturing Service:受託設計・製造サービス)である。

 専門家の中には、ホンハイのビジネスパートナーである米エヌビディアが目指す「AIによるものづくり」に日産のEV生産インフラを活用したい狙いもあるのでは、と見る人もいる。だが、ひとことで「EV生産」といっても、われわれが一般的にイメージするそれとはやや異なっている。

 例えば、ホンハイは2019年にEV事業に参入しているが、自社ブランドでEVを出していない。ベースとなるEVを開発して、顧客である自動車メーカーなどの意向を受けて、カスタマイズしたものを設計・生産しているのである。

 そこでホンハイの強みとなっているのが「低コスト」と「スピード」。これを実現しているのが、EV開発コンソーシアム「MIH」(モビリティ・イン・ハーモニー)だ。

 これは2021年3月に設立されたもので、世界中の部品メーカーやソフトウェア企業など2700社以上(2023年11月時点)が参画している。各社の技術を持ち寄って協働することで、内製化する企業と比べて圧倒的なスピードやコストダウンを実現している。いわゆる「オープンプラットフォーム」と呼ばれる仕組みだ。

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