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2024年、何があった? 小売業界「11大ニュース」を振り返る

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月27日 5時55分

 このように商品の価値が多様化している中で、単に「低価格で高品質」なだけではない、環境貢献や生活課題の解決、効率化といった付加価値が求められる時代になっているのです。

(4)「2024年問題」がより深刻化

 物流業界で「2024年問題」といわれた本年には、輸送人員に加えて倉庫人員の不足、そして人件費やガソリン代の高騰など、深刻な課題が顕在化してきました。物流大手であるヤマトホールディングスが、2024年度の上期連結決算で150億円の赤字へと転落したのが象徴的です。

 今後はさらに輸送リソースの不足が想定され、輸送・倉庫人員の確保、業務の効率化に加え、ロボットをはじめとしたデジタル化推進、物流費の価格転嫁、他社との物流統合会社設立など多角的な対策が急務です。

 例えばカインズとP&Gは、9月に包括的なサプライチェーンの協働強化を発表。トラックの帰り便を活用した共同輸送を本格開始しました。ダイドービバレッジサービスが2025年1月21日付でアサヒ飲料販売を吸収合併し、ダイドーアサヒベンディングへと商号を変更し、自販機オペレーションの効率化、将来的な人手不足への対応など早期に対策を取ったのも象徴的です。ビジネス面では競合していても、オペレーション面では協働して収益を保持する。この流れで、さまざまなプレーヤーがタッグを組んでいくことでしょう。

(5)ライトワンマイルの取り組みが加速

 セブン-イレブンの「7NOW(セブンナウ)」は、セブンの商品をスマホで注文すると、最短20分で配送するサービスです。8月時点で約1万6000店舗に拡大しており、2024年度中に全店での展開を掲げています。店舗の商品を宅配する動きは今後、小売業でより進んでいくでしょう。店舗は、商品を購入してもらうだけではなく、宅配用の在庫という役割も担うようになり、それによって物流費の軽減を図りながら店舗ならではの強みを生かしてECに対抗する流れです。

(6)顧客の声をいかに活用するかがポイントに

 ドン・キホーテを展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)グループは、1500万人以上の会員を持つオリジナル電子マネー「majica(マジカ)」公式アプリ内に、新たな機能として「マジボイス」を導入。アプリ内で商品の評価やコメントをできる機能として、商品の改善や他の人の評価を確認した上で購入する流れを実現しました。メイン機能の一つである「正直レビュー」には、開始7カ月で累計62万件の評価・コメントが投稿され、顧客視点のマーケティングを具現化した取り組みとして、他の小売企業からも注目を集めています。

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