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2024年、何があった? 小売業界「11大ニュース」を振り返る

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月27日 5時55分

(9)サイバー攻撃は「対岸の火事」ではない

 小売業はサイバー攻撃に備える重要性も高まっています。イズミが2月にランサムウェアの攻撃を受け、発注システムが停止、対応に特別損失として10億円を計上して決算も遅延。2025年2月期の純利益が30%減となる見込みを発表したことからも、その重要性はよく分かります。

 サイバー攻撃はどの企業にも起き得ることであり、セキュリティの早急な見直しが求められています。本社と店舗のメールやファイル送信など、全ての活動においてサイバー攻撃のリスクは潜んでいます。業績を直撃するだけでなく、信用き損という被害も発生することで復旧にはかなりの時間を要するでしょう。ガバナンスの最重要テーマとして、万全の対策が急務です。

(10)ウエルシアとツルハの経営統合

 2月、ドラッグストア首位のウエルシアホールディングスと2位のツルハホールディングスが経営統合を発表。売上高2兆円超のドラッグストアが誕生する見込みです。

 特に注目なのが、ヘルスケア市場です。経済産業省によると、2020年に18.5兆円だった市場は2050年には59.9兆円になるとのこと。異業種から参入も増えている中、小売業においてはドラッグストア、特に調剤機能を強みとした展開に注目が集まっています。ドラッグストア同士の統合や別業態からの買収、商社など異業種による買収など、ドラッグストアを軸としたM&Aは今後、さらなる増加が予想されます。

(11)人材不足への対応

 労働人口が減少していく日本市場において、小売業も例外ではありません。今後も人材の取り合いは継続していきます。特に出店を継続するには多くの人材を要するため、定年退職や転職などの人材減少数と、採用による増加数のバランスが取れないと、現場負荷が増大してしまいます。それがまた次なる離職を呼び起こしてしまう、という負のサイクルに陥らない対策が急務です。

 そのために人材紹介会社の活用や、自社イベント、外国人募集といった形で採用手法を多様化するとともに、スポットワーカーや出戻りを歓迎するなど、採用基準の見直しが必要でしょう。イオンが9月に、退職理由を問わず再入社できる制度を開始したのは好例です。

 従来の制度では結婚・出産・育児・介護などのやむを得ない事情で退職した人を対象としていましたが、今回は競合へ転職した人や、新卒採用時に内定を辞退した人も対象です。

 イオンの他にはカインズが、独自の人事戦略「DIY HR」を推進。「じぶんらしい働き方、創ろう。」というスローガンの下で「キャリアパス」「ラーニング」「コミュニケーション」「ワークスタイル」「ウェルビーイング」に注力しているなど、各社で採用・教育・評価の見直しが活発化しています。

 「開示義務化」によって人的資本経営の取り組みが加速することは間違いありません。採用の確保と入社後の成長促進は、店舗対応品質に直結し業績に影響する大変重要なテーマでしょう。

 今回は、2024年の締めくくりとして、小売市場を中心とした11大ニュースを紹介しました。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

(佐久間俊一)

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