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2024年、何があった? 小売業界「11大ニュース」を振り返る

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月27日 5時55分

 この「顧客視点」という普遍的かつ本質的なテーマは、今後さらに重要性を増していきます。

 市場が飽和する中、各企業は自社の増収増益をどう確保するかが一義になりがちです。しかし、それを実現して継続するには徹底した顧客視点が必要なのです。主語が「お客さまが」「お客さまにとって」ではなく「当社が」「当社にとって」となれば、顧客離反を起こしかねません。

 これはテクノロジーにおいても同様です。生成AIが注目を集めたことで「AI導入ありき」の取り組みをしがちですが、あくまで目的は「AIの導入」ではなく「お客さまにとってどう価値があるか」です。テクノロジーが主役とならないよう、十分に気を付ける必要があります。顧客視点という原点に立ち返れた企業だけが、これから勝ち組となるといっても過言ではありません。

(7)リテールメディアへの参入が本格化

 2024年は、リテールメディアに参入を表明した大手小売業が30社を超えました。

 店舗の飽和や人口減少によって、新たな価値を付加しなくては増収増益が難しくなってきた日本の小売市場において、各社が参入を表明しているのがリテールメディアです。リテールメディアとは、売場のサイネージやアプリ、ECサイトなど、顧客との膨大な接点を強みにして、それを広告価値としてメーカー企業へ販売する取り組みです。10月に開催されたリテールメディアのイベントには、小売業や消費財メーカー、さらに広告業界を中心に当初想定の2倍に当たる来場者数があったことからも、注目度の高さがうかがえます。

 リテールメディアは、新たな収益だけではなくメーカーと小売がともにマーケティングを高度化していくことにつながる取り組みのため、業績効果が高く見込まれています。小売、メーカー、広告会社が三位一体となって新しいメディア市場を創り上げられるかに今後も注目が集まります。

(8)インバウンド、小売市場も拡大中

 みずほリサーチ&テクノロジーズのデータによれば、2024年のインバウンド消費総額は7.3兆円、訪日外客数は3477万人で、2025年には7.6兆円、3622万人となる予想です。観光庁のデータによると、消費の30%前後が「買い物代」であり、約2.2兆円が小売業の商機として見てとれます。

 こうした追い風を受け、三越伊勢丹ホールディングスは2024年3月期の決算でインバウンド売上高が過去最高の1088億円だったと発表。2018年度と比較して45%増という飛躍的な拡大です。ドン・キホーテも、個性的な店舗装飾がインバウンド顧客の体験価値につながり、2024年6月期の免税売上は1173億円となり、前期比で3倍という成果を出しています。「ただ商品を買うだけ」ではなく思い出や話題につながるアミューズメント性を備えることが、インバウンドを取り込む際のキーワードとなります。

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