なぜ経営難に陥る「神社」が増えたのか? 神社本庁システムの“限界”に迫る
ITmedia ビジネスオンライン / 2025年1月1日 6時20分
「神社本庁」だ。ここは伊勢神宮を「本宗」として、日本の神社の頂点に位置付けている宗教法人。7万8251社は「被包括神社」と呼ばれ、神社本庁が管理・指導に当たっており、宮司の任命権なども神社本庁が握る。
そして、ここがフランチャイズビジネスを思わせるところなのだが、全国の被包括神社は神社本庁にさまざまな形で金を納めなくてはいけないのだ。
●神社にまつわるお金の流れ
まず大きいのは、「神宮大麻(じんぐうたいま)」の売り上げだ。
神宮大麻とは、分かりやすくいえば、伊勢神宮の神札(おふだ)のこと。被包括神社はこれを「委託販売」する立場で、販売ノルマが課せられている。宗教業界紙によると、2023年に「神宮大麻」は803万8452体も頒布(はんぷ:配ること)されているので、1体800円とすると約64億3076万円の売り上げになる。
それを一時的に全て神社本庁が吸い上げて、伊勢神宮へ納められる。そして、その中から50%が交付金という形で神社本庁に戻され、全国の神社にも分配されるといった流れだ。
ただ、「上納金」はそれだけではない。被包括神社は氏子の数や、参拝客数に見合った納付金を神社本庁から求められる。また、神職の数や階級に「神職賦課金」という会費も払わなくてはいけない。
ただでさえ参拝客や祈祷料だけでは経営が難しい中で、このような形で「加盟料」を徴収されたら経営が苦しくなる神社が多くなるのも当然だろう。
こういう問題が顕在化してくると、フランチャイズビジネスではFC本部への「反乱」が起きるのが常だ。
●神社界でも起きている反乱
分かりやすいのは2019年、東大阪のセブン-イレブンのオーナーが「バイトも確保できないし、売り上げも落ちるから24時間営業をしたくない」とFC本部の方針に反旗を翻して大きな話題になった。
実は似たことが神社界でも起きている。『週刊ダイヤモンド』(ダイヤモンド社)など一部メディアで、神社本庁の不正な不動産取引や幹部の不倫スキャンダルなどが報じられたことや、トップ人事を巡る内紛などで神社本庁への信頼が低下して反旗を翻す有名神社も増えている。2020年には金比羅宮(香川県)が激しい怒りの声明文を出して離脱、2024年には鶴岡八幡宮(神奈川県)も離脱した。
とはいえ、このような思い切った行動に出られるのは、多くの参拝客が訪れる有名神社だからでもある。参拝客も少なく、地元密着型の小さな神社などは神社本庁に加盟していたほうがメリットもあるので、そう簡単に「離脱」はできない。
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