なぜ経営難に陥る「神社」が増えたのか? 神社本庁システムの“限界”に迫る
ITmedia ビジネスオンライン / 2025年1月1日 6時20分
エジプトは日本のように「お金がないのなら赤字国債を発行すればいい」という理屈は通らない。そこでどうするのかというと、「観光」だ。
例えば、エジプトのアフメド・イッサ観光大臣は2023~24会計年度で、歴史遺産の維持・修復に約30億エジプト・ポンド(9700万ドル)の予算を設定。これを「アトラクションの入場料による収入」で賄(まかな)うと述べている。つまり、遺跡や博物館の入場料、土産物、そして前述したような「文化財の貸切」である。
これはエジプトだけではない。フランスではベルサイユ宮殿が貸し切りをしているし、スペインのアルハンブラ宮殿も貸し切りはできないが宿泊ができる。日本でも二条城などが国際会議場として貸し切りをしている。もちろん、ここのもうけは私腹を肥やすためではなく、文化財の修繕や保全など維持費に回される。
「それはそれ、これはこれ! 神聖な神社を金もうけの道具にすることなど許されることではない!」とご立腹の人も多いだろうが、そうやって怒っているだけでは、日本の神社が衰退するだけだ。
先ほど2040年までに、3万8000の神社が消えていく恐れがあることを述べた。なぜそんなことになるのかというと、日本人も消えていくからだ。2024年1月時点で1億2488万人だったわが国の人口は、2040年には約1200万人の日本人が消え、1億1284人となる。これがどれほどヤバいことか、ピンとこない人は九州7県で暮らしている人たちが全て消滅したとイメージしてもらうといいだろう。
しかも、残った日本人のうち35%は65歳以上だ。元気なシニアもいるが、多くは腰が曲がって神社の階段を上がるのにも苦労するような後期高齢者だ。そんな社会で、賽銭や祈祷料、神宮大麻の収益だけで、全国の神社を維持させることなど、できるわけがないではないか。それは今のような神社本庁を本部としたフランチャイズシステムに「崩壊」が訪れつつあるということでもある。
●「変わらない」選択をした時点で、衰退が始まる
「伝統」は大切だ。その国の人間ならば「伝統」を尊重するのも当然だ。しかし、時代の変化に合わせて捉え方を変えなければ、「伝統」は廃れるだけだ。
例えば「着物」。テレビアニメ『サザエさん』の中で、波平さんやフネさんは自宅で和装を着ているが、今の日本であのような姿で自宅で過ごす人はほとんどいない。着物は典型的な「消えゆく伝統」の一例である。
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