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学習塾や脱毛サロンの「いきなり倒産」、なぜ起きる? 消費者が「貸し手」になる共通点

ITmedia ビジネスオンライン / 2025年1月24日 8時10分

学習塾や脱毛サロンの「いきなり倒産」、なぜ起きる? 消費者が「貸し手」になる共通点

「確かな実績」を標榜していたニチガク公式Webサイト

 学習塾や脱毛サロンが突然倒産し、先払いをしていた利用者が大きな損失を被るケースが近年増えている。

 大学予備校「ニチガク」を運営する日本学力振興会が入試直前に経営破綻を発表したことは記憶に新しい。また、脱毛業界でも、医療脱毛の「アリシアクリニック」を展開する医療法人社団美実会と、一般社団法人八桜会の2社が破産した。これにより、事前に高額な利用料を払っていた利用者が、突然のサービス停止で被害を受けた。

 こうした「いきなり倒産」はなぜ起きるのか。問題点を探ってみると、利用者自身が無自覚のうちに企業に対して「貸し手」になっているという構図がみえてきた。

●前払い=事業者にお金を貸しているという構図

 利用者が学習塾や脱毛サロンに前払いで料金を支払うことは多い。しかし、一歩引いて眺めると、「サービスを受ける権利を購入している」のと同時に、実は実際にサービスを受けるまでは「事業者にお金を貸している」という構図とも見て取れる。

 企業が銀行などの金融機関から融資を受ける場合、利息が発生するのが一般的だ。これに対し、回数券を購入させるなどといった「前払い」で集めた資金は、「サービスの値引き」という形で企業が利用者に対して“利息”を支払っているともとらえられる。前払いの場合、利用者は基本料金の3割引、ないしは半額以下でサービスを受けられるケースすらあり、「お得にサービスを受けられる」と感じる。一方で、この時企業は“割引”をすることで、銀行から融資を受けるよりもはるかに高い利息を利用者に支払おうとしているともいえるのだ。

 なぜ、公的な融資制度を組み合わせれば年利1~2%程度の利息で金融機関からお金を借りることができるのに、企業は利用者に何十%もの割引を提供してまで前払いを受けるのだろうか。

 ひとつ考えられるのは、企業が銀行から融資を得られないような無謀な経営プランを立てている可能性だ。そのため、銀行からは融資してもらえず、利用者から“借りようとしている”のだ。利用者が過大な割引を提供する前払いサービスに申し込むことは、「金融機関では断られるレベルのリスクを抱えた企業へ、無担保かつ無利子でお金を貸し付けて」しまっているともいえる。

●「投資詐欺」には騙されないのに…

 「年利40%の金融商品に投資しないか?」と持ちかけられて、それをうのみにする人はごくわずかだろう。しかし、「金融商品」という単語が「回数券」になり、「年利」という単語が「割引」となるだけで、その“怪しさ”は一気に薄れる。特に学習塾や脱毛サロンといった継続利用型のサービスは、実態のつかみづらい金融商品とは性格が異なるからだ。実際に施設やサービスがあり、破綻する前にサービスの全てを享受できれば、利用者にとって何の問題もない。ただ、「いきなり破綻」した事例において、破綻前に利用者が享受した利益は「後から申し込んだ別の利用者の損失」が源泉となっていることに注意したい。そのため、一種のマルチ商法的な構造になっているといっても過言ではない。

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