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なぜファミマは“涙目”を選んだのか 「値下げシール」導入の舞台裏

ITmedia ビジネスオンライン / 2025年1月25日 6時20分

なぜファミマは“涙目”を選んだのか 「値下げシール」導入の舞台裏

ファミマ、なぜ「涙目」を選んだのか

 ファミリーマートが全国での採用を決定した、値下げシールのデザインが話題になっている。消費期限の迫ったおむすびや弁当などに貼るもので、「たすけてください」のメッセージと涙目のおにぎりのイラストが描かれている。2025年3月から順次、全国の店舗に導入予定だ。

 同社が2024年秋に実施した実証実験では、シールのデザインを変えることで値下げした商品の購入率が5ポイント向上した。これを受けて全国への拡大が決定、同施策により店舗における食品ロスが年間で約3000トン削減すると見込んでいる。

 新デザインを決定するにあたり、イラストとメッセージを約10パターン作成して消費者モニター調査を実施しているが、同プロジェクトを牽引したサステナビリティ推進部環境推進グループ マネジャーの原田公雄氏と同グループの松村陽氏は、「予想外の結果だった」と話す。どのような経緯からデザイン変更にいたったのか取材した。

●食品ロス削減を目的に、2021年に「エコ割」を開始

 ファミリーマートでは、環境の中長期目標「ファミマecoビジョン2050」に則り、店舗における食品ロス削減に取り組んでいる。食品ロスを2018年比で2030年に50%、2050年に80%削減するという数値目標を掲げている。

 そうしたなか、包装の改良による消費期限の延長や規格外の食材の活用、AIなどを活用した発注精度の向上、消費期限の迫った中食商品の割引(エコ割)などを実施して、成果を上げてきた。2023年度は2018年対比で28.9%の削減となり、2024年度は集計中だが、より上向くと予想している。

 「さまざまな施策の複合的な効果としての実績ですが、肌感として2021年7月から開始したエコ割は、食品ロス削減に非常に貢献していると思います。現在、全国9割以上の店舗でエコ割を活用しています」(原田氏)

 ファミリーマートでは、比較的早期に値下げを実施してきたことから、その認知が広がっているという。調べてみると、大手3社のうちローソンが最も早く開始しており、2021年12月時点で全国の9割の店舗で導入していた。ファミリーマートでは同タイミングで8割が導入済みだった。

 セブン-イレブン・ジャパンでは、2021年8月に売れ残った商品を加盟店の判断で自由に値下げできるシステムを導入したと報道されているが、2024年時点で常に値下げをする店舗は約3割にとどまっていた。同年5月に本部が主導して値下げを推奨する方針転換が行われている。

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