なぜファミマは“涙目”を選んだのか 「値下げシール」導入の舞台裏
ITmedia ビジネスオンライン / 2025年1月25日 6時20分
●モニター調査で、「涙目」+「たすけて」が好評
各社が食品ロス削減に取り組むなか、ファミリーマートでは数値目標の達成を目指し、値下げシールのデザイン変更を思いついたという。
「キャラクターの表情を『笑顔』『号泣』『焦り顔』『困り顔』など約10パターン用意し、それに添えるメッセージも『このままだと捨てられてしまう』『私を連れていって』『私を買ってください』など表現を変えました。デザインを決めるにあたって消費者モニター調査を行ったところ、『涙目』の表情と『たすけてください』のメッセージが圧倒的に評判が良かったんです」(松村氏)
松村氏は当初、「笑顔のイラストが売り上げにつながるのではないか」と仮説を立てていた。しかし、調査では「笑顔だと販促として買ってほしいようなイメージがわく」といった声が聞かれたという。
メッセージについても、直接的な「たすけてください」よりも、やや控えめな「私を連れていって」や「私を買ってください」などのほうが好まれそうだと予想していたが、それらは「目的が食品ロス削減だと伝わりづらい」「セールやキャンペーンのように思える」と、あまり評判が良くなかった。
「『なぜ買ってほしいのかが分からない』といった声が多く聞かれました。一方、涙目のキャラクターと『たすけてください』というメッセージは、『このままだと捨てられてしまうから助けてほしい』という当社のメッセージが一番伝わりやすいと好評でした」(原田氏)
モニター調査では、多くの人が「食品ロス削減に貢献したい」「社会を良くするために何かアクションをしたい」といった意思を持っていることも読み取れたという。その意思を後押しするにも、「涙目」に「たすけて」というメッセージがベストだと判断し、このデザインで実証実験を行うことにしたそうだ。
●購入率5ポイント増、今春に全国拡大へ
実証実験は、2024年10月30日~11月26日までの4週間、東京都と神奈川県の合計6店で実施した。エコ割の利用状況が全店平均レベルの店舗を選定し、デザインを変更した値下げシールを使用した場合と従来の値下げシールを使用した場合で、値下げ商品の販売状況や食品ロスの削減状況にどのような変化が起こるかを比較検証した。
「結果的に、デザインを変更したシールを使用した商品の購入率が5ポイント向上しました。購入した方に購入理由をヒアリングしたところ、『涙目のイラストが目にとまったから』『食品ロス削減に賛同したから』という声が聞かれ、このデザインが購入につながっていると感じました」(松村氏)
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