脱「牛丼一本足」進める吉野家 カレー、から揚げ、おにぎり、ラーメン、どこまで広がる?
ITmedia ビジネスオンライン / 2025年1月27日 11時27分
吉野家は牛丼で使う肉について、秘伝のたれに合う米国産のバラ肉にこだわっている。このこだわりの強さが、競合のすき家や松屋と比べても熱烈なファンを持つゆえんでもあるだろう。一方、すき家では牛丼(並盛)が450円、松屋では牛めし(並盛)が430円で、吉野家の割高感は否めない。
近年、米国産牛の値上げはすさまじい。日本食肉流通センターが発表した「最近の食肉をめぐる状況」(2024年3月報告)によれば、2020年1月を起点(100)としたUSチルドショートプレート(トモバラ)の価格指数(首都圏)は、2021年10月に160近くに上昇。
一時的に落ち着くものの、円安の影響で2023年10月には再び160辺りまで上昇している。吉野家としてみれば、利益を出すために、これ以上の値上げが難しい牛丼以外の商品をなるべく売っていきたい状況だろう。
振り返れば、既に2022年から牛丼に並ぶ第2の主力商品にから揚げを位置付け、宣伝にも力を入れてきた。そうした“畜種分散”の一環として、傘下のSPEEDIA(スピーディア)という会社では「オーストリッチ」、すなわちダチョウの飼育、商品開発に着手。店舗限定だが、2024年8月に「オーストリッチ丼」を約6万食を上限として販売した。
カレーにも本格的に力を入れてきた。1月16日から、東京・大久保の行列が絶えない人気カレー店「SPYCY CURRY 魯珈」が監修した、「牛魯珈カレー」(729円)、「肉だく牛魯珈カレー」(839円)を期間限定で販売している。魯珈といえば、大手チェーンとのコラボ実績が豊富な有名店。従来の吉野家のカレーと違う、専門性の高いスパイスカレーのメニューだ。
●はなまるの本社移転は、値上げへの対応か
はなまるは、セグメント売上高が231億9000万円(同5.8%増)、セグメント利益は18億4100万円(同27.7%増)と好調だ。期末の店舗数は418店で、トップを走る丸亀製麺にはダブルスコアを付けられているが、決して不振なわけではない。
1月23日に値上げを行い、かけ(小)の価格は330円から360円に、かけ(中)は520円で、ワンコインを超えた。小麦や食用油の価格高騰を受けて4年連続の値上げとなるが、これまで幸いにも値上げによる売上減は起こっていなかった。
しかし、かけ(小)はコロナ前の2倍となっており、さすがにここまで値段が上がると、顧客を納得させる新たなるストーリーが必要になってきた。そういった理由で、香川・高松へ本社移転したのではないか。
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