脱「牛丼一本足」進める吉野家 カレー、から揚げ、おにぎり、ラーメン、どこまで広がる?
ITmedia ビジネスオンライン / 2025年1月27日 11時27分
業界のトップである丸亀製麺は「讃岐うどん」の代表ブランドとされるが、本場である香川県の店舗は1店にとどまる。丸亀市内に店舗はなく「心の本店」と称する研修施設を、2024年11月に離島の讃岐広島に設けた。対して、はなまるは本社を、高松市内に移した。
はなまるには「サラダうどん」、期間限定の「ごま担々」など、他店にないユニークな商品もある。それにプラスして、本社移転で打ち出した「おいでまい!さぬきプロジェクト」によって、いかに香川色を出していくか。高くても、通いたくなる店づくりに期待したい。
●海外事業が特に足を引っ張った
吉野家HD全体へ話を戻すと、増収減益の大きな理由は海外事業の不振だろう。
セグメント売上高は211億2700万円(同4.7%増)と増収だったが、セグメント利益は11億4900万円(同34.9%減)と大幅な減益。特に米国・カリフォルニア州と中国の不況が影響しており、店舗数も期中に10店舗減少となった。
吉野家HDとして、海外事業の立て直しは急務であり、海外・インバウンドに人気が高いラーメンの強化に余念がない。そうした中で、 先述したキラメキノ未来のM&Aを行った。
●「ココイチ」が君臨するカレーは立地勝負か
これまでも吉野家HDは「せたが屋」「ひるがお」で知られる、せたが屋を2017年に買収し、2019年にも「とりの助」「風雲丸」などを展開するウィズリンクを買収している。ラーメン店向けの麺やスープ、タレなどを製造販売する宝産業も2024年5月に買収し、M&Aを駆使して第3の柱に育成する方針だ。
バブル崩壊以降、ずっと続いてきた日本のデフレ経済の中で、低価格路線で勝ってきたのが吉野家HDだった。牛丼(並盛)の価格は、2012年に一部店舗では250円とかなり安かった。はなまるのかけ(小)にいたっては、同時期105円である。
それが今や、牛肉に米、小麦、食用油など食材価格が高騰。人件費・エネルギー価格も高止まりしているが、牛丼やかけうどんの価格を上げ過ぎると、顧客離れが懸念される。そこで、1000円前後の顧客単価が取れるカレーやから揚げの専門店に至ったのである。
そのうち「もう~とりこ」では「ビーフカレー」(858円)、「スパイシービーフカレー」(858円)、「バタービーフカレー」(913円)と3種類のカレーを提供し、トッピングも充実させた。ライスは300グラムが基本で、200グラムなら110円引き、増量に応じて価格が上がり、1000グラムまで可能とした。
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