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”幽霊”がおもてなし? 全国に広がる「ゴーストタウン」は再生できるのか

ITmedia ビジネスオンライン / 2025年1月29日 8時10分

 とにかく現役世代にやってきてもらいたい自治体は「移住者は家賃ゼロ」など当たり前、引越し一時金や子育て支援などに公金をどんどん投入していくだろう。福祉や公共サービスの充実さをもってして「暮らしやすさ」をアピールする。中には「企業誘致」で雇用や消費を生み出そうとする自治体も出てくるだろう。特徴的な自然や文化財などがある自治体は観光に活路を見い出そうとするかもしれない。

 では、そういうことができない自治体はどうなるかというと、言葉は悪いが「座して死を待つ」しかない。

 民間の有識者グループ「人口戦略会議」が2024年4月に発表した報告書によれば、日本の全自治体の4割に当たる744の地域が「消滅する可能性がある」という。2020年から2050年までの間に、子どもを産む中心世代である20~39歳の女性人口が半減するというのだ。

 さて、そのような話を聞くと「もう何をしても変わらない。消滅するのを待つだけだ」と未来に希望を抱けない自治体もあるかもしれない。

 しかし、諦めるのはまだ早い。「産業や特色もない街」でも生き残る道がないわけではない。例えば「心霊とともに生きていく」という方法だ。

 地域の心霊スポットを観光資源としてアピールするだけではなく、「人が閑散として寂れた街」という景観も逆手にとって、地域全体を「巨大なお化け屋敷」にして観光客を呼び込む。

 つまり、ゴーストタウンを「幽霊」で地域おこしをするのだ。

●軍艦島に学ぶ「廃墟活用ビジネス」

 「子どもみたいな発想だ」と冷笑する人も多いだろうが、実は全国の自治体では既に似たような取り組みが進んでいる。それは「廃墟ツアー」だ。

 この分野で有名なのは長崎県の「軍艦島見学ツアー」だ。高度経済成長期の廃墟を遠くから眺めることで、観光客に歴史を感じてもらう。既にこういう成功例があるのだから、ゴーストタウン化が進む自治体の中ではもう一歩踏み込んで街全体を「廃墟テーマパーク」のようにしようと考えるところも現れるはずだ。

 例えば、地域の中でシャッター商店街や空き家が多いところは、潰れた工場、廃ホテルなど街の中に点在する廃墟を全て観光スポットとして紹介する。その中でも所有者の協力が得られる場所は、安全なルートを整備し、建物内部を観光できるようにする。

 もちろん、観光客は「廃墟マニア」だけではないので、見どころもつくる。例えば民家の場合、そこでどのような家族が暮らしていて、どういう日常を送っていたのかという「ファミリーヒストリー」的な展示をしてもいい。江戸時代や明治時代にまでさかのぼれば、地域の歴史も紹介できる。場合によっては、廃屋の中で昔ながらの家庭料理を振る舞うような廃墟レストランを運営してもいいだろう。

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