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”幽霊”がおもてなし? 全国に広がる「ゴーストタウン」は再生できるのか

ITmedia ビジネスオンライン / 2025年1月29日 8時10分

 安全面の整備は必要だが、基本的に廃墟をそのまま見学するだけなので初期費用はそれほど多額ではない。しかも、「ゴーストタウン」という統一コンセプトで街全体の景気を刺激するだけではなく、宿泊、飲食、小売などにも新たな雇用、つまり「新住民の転入」も期待できる。

●世界でも広がる「廃墟活用」

 そんな荒唐無稽(こうとうむけい)な話が実現できるわけがないと思うだろうが、世界ではそういう「廃墟活用」はそれほど珍しくない。有名なところでは、米国のキャリコ・ゴーストタウン公園だ。ここは西部開拓時代にシルバーラッシュで大いに栄えた街だったが、銀山が閉鎖され1907年に無人の廃墟となった。

 そんな無人の廃屋を、1940年代に実業家が買い取って「廃墟テーマパーク」にしたのだ。2025年現在も、人気の観光スポットとなっている。西部開拓時代の面影の残る廃屋を巡るツアーや、鉱山鉄道が人気だ。

 また、イタリアのクラコという街は地震や土砂崩れで1980年ごろにゴーストタウンになった。しかし、「険しい山頂につくられた街」という独特の景観が人々を魅了して、映画『007/慰めの報酬』のロケ地にもなり、多くの観光客が訪れている。

 このように海外で「廃墟」は立派な観光資源となっているという動かし難い事実がある。ならば、「心霊スポット」だって観光資源になってもおかしくない。

 皆さんも子どものころに一度は「廃墟になったホテルや病院に幽霊が出る」とか「夜の廃寺で人魂が飛んでいた」みたいな話を聞いたことがあるだろう。廃墟の中でも心霊スポットというのは、人の好奇心を刺激して現地に向かわせる原動力になる。つまり、「観光資源」になるのだ。

 それは日本人だけではない。海外では「幽霊屋敷」や「幽霊ホテル」が観光スポットとして人気を博している。米国や英国では心霊現象に詳しいガイドと巡るツアーが活況で、「心霊廃墟」に宿泊プランまであるのだ。

 どのような街でも探せば、廃ホテル、廃病院など一つくらい心霊スポットがあるはずだ。これはゴーストタウン化が進んでいる地域は逆に有利だ。そこに加えて地域伝承や民話を調べてみれば、怖い話も見つけられる。それらをうまく組み合わせて、「心霊タウン」として地域おこしをするのだ。

 そんなに都合よくいくかよと思うだろうが、実際にそういう自治体PRの例がある。「ローマ法王にコメを献上したスーパー公務員」として知られた高野誠鮮(たかのじょうせん)さんだ。石川県羽咋市(はくいし)の臨時職員だった高野さんは若いころにUFO関連のテレビ番組を制作していた知見と人脈を生かして、羽咋市を「UFOタウン」として売り出すことに成功した。地域の古文書に未確認飛行物体の記述があったことと、UFOの目撃情報が多いことを結び付けたのだ。

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