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”幽霊”がおもてなし? 全国に広がる「ゴーストタウン」は再生できるのか

ITmedia ビジネスオンライン / 2025年1月29日 8時10分

●「廃墟活用」に否定的な声も多いが……

 「自分の街の心霊スポットを売り出すなんて、そんなの住民が反対するので、できるわけがない」という声が聞こえてきそうだが、それはごもっともである。ただ、だからこそ「ブルーオーシャン」になっていることも分かっていただきたい。

 日本ではこういう「廃墟活用」には安全性、住民とのトラブル、倫理的な問題などから否定的な声が多い。リスクを恐れる自治体は基本的に検討すらしない。ということは裏を返せば、「競合」はほぼいないので、この一線を踏み越えれば「大きなチャンス」になるかもしれないということだ。

 しかも、これは日本のためになる。自国民がどんどん消える国で「内需」を維持するには、外国人観光客の消費に頼るしかない。

 そこで課題となるのが「観光公害」だが、これはマナーだなんだという精神論では解消できないので、「ゾーニング」しかない。有名観光地に集中している外国人観光客を、日本全国に「分散」するように誘導するのだ。

 そんな新たな観光スポットに、「ゴーストタウン化が進む自治体」はうってつけである。

 これまで見てきたように、廃墟ツーリズムや心霊ツーリズムというのは海外では確立していることに加えて、いま「日本の村」は心霊コンテンツとしての価値が上がっているからだ。

 映画『呪怨』などで海外でも「Jホラー」は高い評価を得たが、それが近年再び注目されているのが「村シリーズ」だ。『犬鳴村』『樹海村』『牛首村』など、都市伝説で語られる「山深いところにある村」を舞台にしたホラー映画が続いており、中には海外で公開されているものもある。

 日本の観光スポットといえば以前は浅草や京都、富士山が定番スポットだったが、近年は外国人観光客の関心も多様化。長野県の野沢温泉村、白馬村、群馬県の嬬恋村(つまごいむら)など「村」に向かっている。

●人口減少が進む自治体が生き残るには

 有名温泉やスキー場がない無名の「村」であっても、外国人観光客の誘致に成功すれば、自治体存続の道を見い出すことができるかもしれない。その一つが「廃墟テーマパーク」や「心霊廃墟」ということだ。

 もちろん、「廃墟活用」でももうちょっと住民の理解の得られるものをやりたい自治体も多いだろう。空き家を使った室内野菜栽培などが注目を集めている。確かに、海外でも廃墟を活用した野菜工場などが普及してきているので、「心霊ツアー」「廃墟テーマパーク」など突飛な話よりも住民の賛同が得られやすい。自治体としてもやりやすいだろう。

 ただ、「やりやすい」ということは競合がたくさんいて、個性が出しづらいということだ。「産業も特色もない街」がどこの自治体でもできそうな施策をするだけで生き残れるなら、そもそも744もの自治体が消滅するなんて話になっていないのではないか。

 先ほど申し上げたように、日本の自治体にとって「再生」といったのんびりした話をする段階はとっくに過ぎていて、「食うか食われるか」というシビアな生存競争が始まっている。

 「その他大勢」とともに消えていきたくないのなら、なりふり構わず、必死にもがいていくしかないのではないか。

(窪田順生)

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