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電通・博報堂をサイバーエージェントが猛追? 広告業界を生き残るヒントを探る

ITmedia ビジネスオンライン / 2025年1月31日 5時55分

 図にあるような代表的な企業は、広告会社とは一線を画すビジネスモデルやノウハウで高い成長性と収益性を保持しています。この多面的で「立体パズル」のような戦略のうち、自社がどこに向けて舵(かじ)を切るのか、最適な一歩を必ず見出さなくてはなりません。

 ここまで代表例として挙げた企業と、大手広告会社との比較を見ていきます。まず広告会社大手2社の業績推移を紹介しましょう。両社とも売り上げと収益は伸長しているものの、営業利益高は減少傾向です。業界のトップ2社が、大変類似した傾向になっているのが分かります。

 次に、前出の図に代表例として記した企業を加え、売り上げの成長性と営業利益率、営業利益高を見ていきます。右上のゾーンが成長性、収益性ともに高いゾーンです。大手広告会社3社よりも高いポジションにあることが分かります。

●電通・博報堂とサイバーエージェントの違いとは?

 サイバーエージェントは売り上げでは電通とまだ差があるものの、営業利益は博報堂を追い抜き、電通の背中が見える位置まで来ています。この収益性の違いは、ビジネスモデルに起因します。具体的には、多角的であること、自社独自サービスやストック型収益が組み込まれていることが大きな特徴です。

 アクセンチュアは戦略やIT導入などのコンサル事業から、広告計画・制作まで領域を拡大し、8年間で売り上げが約4倍の成長を遂げています。ブレインパッドやサイボウズは分析力や業務改善力という強みを武器に、ストック型サービスを提供し、安定的な経営基盤を実現しています。

 これら6社の従業員1人当たり粗利高と、営業利益高を比較したのが次のグラフです。1人当たり営業利益の観点では、電通や博報堂を他の企業が上回っています。

 もちろん新しい事業領域に踏み出すことはリスクも伴います。踏み出すか否かは、経営者の拡大意向や挑戦の精神の多寡によるでしょう。スピーディーかつ、圧倒的な量的拡大や収益性の向上を目指す経営者であれば、新しい事業領域への参入が自然の道となるはずです。

●マーケ・DX組織の整備が優先課題

 広告領域の範囲内で拡大を目指すとしても、整備すべきことがあります。マーケティング組織とDX組織です。小売業やIT企業を例に取ると分かりやすいので、次の図に示しています。

 マーケティングの4分類である、「商品」「価格」「チャネル」「販促」に対し、小売業やIT企業は組織やルールが明確です。一方、広告会社の多くは商品開発組織がありません。販促を売り物にしているにもかかわらず、自社の販促が手薄なのです。

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