1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

JR西がイノベーションを「外販」する未来 デザイン思考から働き方改革まで

ITmedia ビジネスオンライン / 2025年1月31日 8時10分

 WESTERポイントは加盟店の商品購入で使えるほか、インターネット予約でも使用可能。WESTER会員向けのおトクなきっぷも用意している。いわば「WESTERポイント経済圏」がつくられたといえる。この経済圏を下支えする決済機能がWesmo!になる。Wesmo!で決済するとWESTERポイントがたまる、たまったWESTERポイントで決済できる、という仕組みだ。

 QRコード決済アプリは国内で参入企業が多く10社を超えている。このうち上位の「PayPay」「楽天ペイ」「d払い」「au PAY」で、総決済回数の9割以上を占めるという。Wesmo!はいわばレッドオーシャンに乗り込んでいくことになる。心を動かすWesmo!で決済したくなる仕組みをいかに提供できるか、決済機能の差別化が課題だ。かなり挑戦的なプロジェクトだと思う。

・「グループ一体となったイノベーション活動の展開」

 JR西日本 デジタルソリューション本部の若手数人による発表会。グループ会社から選抜されたチームが、社内で培った技術を外販する目的で活動している。展示会場にあったmitococaもこのグループの「商材」だ。事務や技術などそれぞれの専門分野を問わず、チームの誰もが自社の技術を外販するプロジェクトに参加している。

 例えばJR西日本テクノスは社内向けに車両の延命化、再生、改造を行っている。このノウハウを使って、新車導入が難しい鉄道会社に対し、中古車両を改造した車両の導入を提案している。

 象徴的な商品は「踏切ゲート-Lite」で、踏切用の簡易な手動式遮断機だ。歩行者用の小さな踏切を渡るとき、歩行者自身が強化プラスチック製の遮断機を持ち上げる。これで、歩行者は「線路を渡る」ことを認識して、左右確認を促される仕組み。

 鉄道の踏切には「警報器と遮断機」がある第1種と、「警報器のみ」の第3種、「標識のみで警報器も遮断機もない」第4種がある。かつては保安係が常駐する第2種があったけれども、現在はない。この中で事故が多いのは第4種。しかし警報器は列車接近センサーの設置も含めてコストが大きい。地方私鉄では騒音苦情から警報器を設置できない踏切もあるという。

 そこでJR西日本は「踏切ゲート」を開発した。これは遮断棒が水平方向に動く方式で、自転車でも押し開けて通行できる。踏切ゲート-liteは人の通行に限り、遮断棒を持ち上げて使う。これらをローカル線の第4種踏切に設置したところ、踏切事故がなくなったという。JR西日本が課題を解決したモノは、他の鉄道会社でも受け入れられるはず。かくして技術畑の社員たちは営業に転じた。その苦労話も面白かった。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください