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JR西がイノベーションを「外販」する未来 デザイン思考から働き方改革まで

ITmedia ビジネスオンライン / 2025年1月31日 8時10分

 果たしてこれがどれだけの市場規模か、利益を生み出せるかは未知数だ。私も分野は異なるけれど、売り込みの苦労はよく分かる。営業は失敗の連続で心が折れることもあるだろう。しかし、登壇者のはつらつとした様子には、社会に役立つモノやサービスをつくっているという喜びが見える。それは働くモチベーションを上げると思う。JR西日本の狙いはこちらにあるのかもしれない。

・「JR西日本の働き方改革 Work Smile Project」

 JR西日本 デジタルソリューション本部の講演と実例紹介。JR西日本は2021年度に「Microsoft 365」を導入し、全社員に向けた働き方改革に取り組んだ。社員それぞれがもつ創意工夫や「がんばる」「なんとかする」という精神論に頼らず、部署ごとにツールを開発して業務環境を改善する取り組みだ。外部のエンジニアではなく、技術を持ち運用する社員が自ら開発する強みがある。

 コミュニケーションツールとして「Microsoft Teams」を紹介していた。社員全員にIDを発行し、日々の報・連・相だけではなく、例えば台風接近の時、被災状況、列車の遅れ、事故の情報を共有する。固い業務連絡だけではなく、やりとりの中で部門長が最前線の社員にグッドジョブマークを付け、現場の社員からハートが返ってくるという、コミュニケーションの取りやすいリラックスした雰囲気がつくられた。

 興味深い実例として、敦賀駅の乗り換え手配の情報共有がある。2024年3月に北陸新幹線が敦賀駅まで延伸した。いままで京阪神から金沢、富山へ向かう人は、敦賀で在来線特急のサンダーバードと新幹線を乗り換える必要がある。乗り換え時間は最短8分、1回の乗り換えで最大800人が乗り換える。これは通常時に計算された乗り継ぎ時分だ。

 しかし在来線のダイヤは気象状況によって乱れやすい。特に琵琶湖西岸の湖西線は強風の影響を受けるし、緊急手段として琵琶湖東岸の北陸本線経由に変更する場合もある。こういうとき、列車指令から接続に関係する乗務員、駅員などへ一斉に情報を伝える必要がある。

 従来は運転状況を把握する列車指令が、関係するエリア隣接箇所の列車指令、乗務員、駅員にそれぞれ接続列車などの情報を伝えていた。駅では乗客案内係や、窓口に情報を伝え、払い戻しや接続列車の変更に対応する。これらを電話や列車無線で何度もやりとりしていた。しかし敦賀駅の規模では到底間に合わない。そこでダイヤ改正前に、現場社員によって「近畿金沢乗り継ぎワーキングチーム」を結成し、ダイヤ乱れに対応する通知機能を社内向けアプリとして実装したという。

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