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西友の売却に見る「総合スーパー」の終焉 かつてダイエーと争った“王者”の行方は?

ITmedia ビジネスオンライン / 2025年2月4日 8時0分

西友の売却に見る「総合スーパー」の終焉 かつてダイエーと争った“王者”の行方は?

売却が発表された西友(西友公式Webサイトより引用)

 大手総合スーパー西友が売りに出され、その行方が注目を集めている。現在の支配株主は米国不動産ファンドKKRで、それまで非開示であった決算も2022年度、2023年度と黒字化していることが公表されていた。2024年には北海道と九州の店舗を分割譲渡していたことから、「そろそろ出口が近づいたか」とうわさされていたが、ファンドとして相応の売値が見込めるまでに整ったということであろう。

 西友といえば、かつてはセゾングループの中核企業であり、ダイエーと覇権を争った時代もあった。しかし、グループ崩壊後は世界最大のスーパーのウォルマート(米国)の子会社となり、ウォルマートが実質撤退した後にKKRに譲渡された。

 西友の2023年度の業績は、売上高6647億円、経常利益270億円 。その後、九州(売上高970億円)、北海道(売上高261億円)を分離売却しているため、単純計算だと売上高は5400億円規模で、店舗の大半を三大都市圏に展開している。この店舗網がどの企業のものになるのかによって、小売業界の相関図にも少なからず影響が出るため、業界でも注目が集まっている。

●買収後、西友はどうなるのか

 買収に名乗りを上げている事業会社は、イオンやドン・キホーテを運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(以下、PPIH)、トライアルホールディングス(以下、トライアルHD)など。しかし、どこに買収されたとしても、西友が今の形のまま存続することはなさそうだ。

 こういうと「イオンは総合スーパーの会社でしょ」という声が聞こえてきそうだ。しかし、今やイオンは総合スーパーで食っている会社ではないのである。

 図表1は、2023年度におけるイオンのセグメント別営業収益と営業利益をまとめたものだ。総合スーパー(GMS)は売り上げこそ大きいが、利益貢献は1割ほどしかないことが分かる。今のイオングループは小売業で稼ぎつつ、その顧客接点を活用し、商業施設の運営と金融で利益を得る会社といった方が正しいのだ。多様な業態を抱えたイオンは総合スーパーの買収実績も豊富であり、西友を取り込み、様子を見ながら最適な形に組み替えていくことになるだろう。

 PPIHとトライアルHDはディスカウントストアのトップと2位の企業であり、西友の同業ではない。西友がいずれかの企業の傘下に入ったとしても、総合スーパーの店として長く存続する可能性は低い。西友として残るのは食品スーパーの機能のみであり、非食品の売り場は新たな株主のノウハウを生かして再構成されることになるだろう。従来型の総合スーパーに再投資する企業など、事実上存在しないからである。

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