ドンキ「みんなの75点より、誰かの120点」が、マーケティング戦略的に正しいワケ
ITmedia ビジネスオンライン / 2025年1月31日 6時10分
当時のマツダは世界シェア2%の自動車メーカーであった。その数字を見たとき、多くの企業であればシェアの拡大を目指し、より大衆受けする車を開発する方針にシフトするかもしれない。しかしマツダは逆を行き、「2%のユーザーに徹底的に愛されるブランドにしよう」と発想を転換したのである。
大手メーカーと同じ土俵で戦うのではなく、むしろマツダ独自の世界観や車作りを強化し、“濃いファン”を狙う戦略にかじを切った。その結果、デザインや走行性能はもちろん、ディーラーの接客や店づくりまで含めてマツダ独自の色合いが際立ち、現在のブランド価値向上につながっている。
●ヴィレッジヴァンガードに見る“アンチを恐れない”姿勢
ニッチ戦略のもう一つの代表例として挙げられるのが「ヴィレッジヴァンガード」である。同社は書店でありながら、本やCDだけでなく雑貨をゴチャ混ぜに陳列し、独特のポップとディスプレイで“宝探し感”を演出する「遊べる本屋」として一世を風靡(ふうび)した。
コロナ禍以降の業績は苦戦しているが、かつて同社の役員が「95%の人に嫌われても、5%の人に気に入られればいい」と語ったという逸話は有名だ。
あるテナントビルから提供されたデータでは、来館客のうち5%しか同店に入らなかったという。ほとんどの人が素通りする中、それでも5%は“ここでしか味わえない楽しさ”を求めてわざわざ足を運んでくれる顧客であった。
そこで、95%の大衆に合わせるのではなく、5%にとことん刺さる品ぞろえや店づくりを推進したのである。“アンチを恐れない”どころか、むしろ「嫌いな人に無理に振り向いてもらう必要はない」という哲学が徹底されている。大手の大型書店や雑貨店と真正面から戦うのではなく、既存のファンの深層心理を掘り起こして“そうそう、これが欲しかったんだ”と思わせる独自路線を究めることで、確固たるブランドらしさを築いた。
●ニッチ戦略で成功するためのポイント
ニッチ戦略とは、大手が参入しない領域を狙い、その狭い市場でリーダーになることである。しかし「狭い市場=限られた売り上げ」と安直に決めつけるのは早計である。
たとえ対象顧客のボリュームは小さくても、その一人一人の客単価やリピート率を高められれば、十分に高収益を見込めるからだ。
“少数の顧客を圧倒的に満足させる”というアプローチは、「パレートの法則(80/20の法則)」とも通じる。大抵のビジネスでは利益の8割を2割の顧客がもたらしている。であれば、その2割をもっと“熱狂的なファン”に育成すべくリソースを集中投下することが、ビジネスとしても合理的である。
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