1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

なぜ若い人は「黒ラベル」を選ぶのか サッポロの“1人2杯まで”の店が示した、お客の行動変化

ITmedia ビジネスオンライン / 2025年2月4日 6時10分

 「ん? 他のビールメーカーも似たような店を運営しているよね。常設店というのは少ないかもしれないけど、店は大きくないし、それほど影響力はないのでは?」などと思われたかもしれない。ビールの年間出荷量に比べれば、この店で消費される量は“微々”たるものだが、それでも少しずつ少しずつお客との接点を重ねることで、ファンを広げているようだ。

 THE BARがオープンしたのは2019年。その後、コロナ禍に突入したので満足のいく運営ができなかった期間もあるが、これまでのところ想定以上の結果がでているようだ。2019年の開業から2024年12月末までの累計客数は約34万人。客数と売り上げは順調に伸びていて、2024年はどちらも前年比10%ほど増えているという。

 この店は「最もビールがおいしい瞬間はその日の1杯目。」というコンセプトを掲げていて、お客に提供するのは「1人2杯まで」としている。ビールは1杯550円、フードは380円から。銀座という土地柄を考えると、価格が安いこともあって、ちょっとふらっと寄って本格的なビールを楽しめる場として人気を集めているようだ。

●順調の一方で、課題も

 このほかにも、店の特徴がいくつかある。注ぎ方が異なる3つの黒ラベルを提供していることと、自分専用のビールグラスをキープできること(2月で終了)。

 お客はスタッフに注文すると、このような言葉をかけられる。「グラスに10秒ほど冷水をかけ、ビールと同じ4度まで冷やしますね」と。その後、スタッフが店のこだわりを説明しながらビールを注ぐ。この一連の動作が“なめらか”なこともあって、スマホで動画を撮る人が多い。動画を撮影→SNSに投稿→動画を見てTHE BARを知る→お店を訪れる→動画を撮影……。

 こうした循環が生まれているわけだが、それは国内だけにとどまらない。海外にも広がっていて、来店客の約3割は外国人だという。海外でもグラスにビールを注ぐお店はたくさんあるが、なぜ日本で動画を撮影するのか。

 黒ラベルブランドマネージャーの黒柳真莉子さんに聞くと、「ふるまいに日本らしさを感じられているのかもしれません。まるでショーを見るかのように、来店される人が多いですね」と説明する。

 筆者が取材に訪れたのは、平日の午後5時ごろ。ピーク時よりも少し早い時間にもかかわらず、店内は満席で、店の外でも「まだか、まだか」と待つ人がたくさん並んでいた。広報担当者によると「平日の営業時間は午後2時から、土日祝日は午前11時30分からですが、昼から満席になることも珍しくないですね」とのこと。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください