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自分で淹れたら70円、店員が淹れたら700円 モンカフェが“変わった店”を営業しているワケ

ITmedia ビジネスオンライン / 2025年2月8日 7時40分

自分で淹れたら70円、店員が淹れたら700円 モンカフェが“変わった店”を営業しているワケ

モンカフェがちょっとユニークなカフェを始めた

 東京の渋谷から原宿の間をつなぐ「キャットストリート」という道路がある。細い道にはたくさんの人が歩いていて、個性的なブランドショップ、古着屋、飲食店などが並んでいる。その中に、ちょっと変わったカフェが誕生した。

 自分がドリップすれば1杯70円、店のスタッフが注げば1杯700円、価格差は10倍である。「ははーん、話題を集めるために奇をてらった値付けをしたんでしょ。で、もうかってるの?」などと思われたかもしれないが、この店の狙いは、売り上げの数字ではない。どういうことか?

 店の名前は「究極のセルフカフェ モンカフェ」。1杯型のドリップコーヒー「モンカフェ」を製造している片岡物産(東京都港区)が2024年1月に始めたのだ。

 入店してからコーヒーを楽しむまでの「流れ」はシンプルである。複数のブレンドから、お客は好みのブレンドを選ぶ→キャッシュレスで決済→スタッフがブレンドに合わせた最適な量のお湯を持ってくる→初めてのお客には、スタッフが「おいしい淹(い)れ方」を説明→あとは、自身のペースで飲む。

 メニューは、1杯型のドリップコーヒーのみ。一般的なカフェといえばサンドイッチやパンケーキなども提供しているが、なぜ片岡物産はこのような店を始めたのか。その理由を紹介する前に、商品の歴史を振り返ってみよう。

 モンカフェが登場したのは、1984年のことである。「お店で飲むようなおいしいコーヒーを手軽に楽しんでいただきたい」という思いで、商品を開発。当時、1杯型のドリップコーヒーは出回っていなかったので、新しい市場をつくってきた歴史がある。

 お中元・お歳暮シーズンによく売れて、売り上げがどんどん伸びていく。しかし、20年後に転機が訪れる。特許が切れたこともあって、大手メーカーが低価格で参入したのだ。

 スーパーの棚にたくさんのブランドが登場したことによって、市場が大きくなり、モンカフェもそれなりに伸びていく。ここまではよかったが、パイオニア的なブランドとして市場を引っ張ってきた商品なのに、やがて“異質な存在”になっていくのだ。

●モンカフェの課題が見えてきた

 1杯型のドリップコーヒーの飲み方といえば、キリトリ線に沿って開封し、それを左右に広げる。本体をカップのふちにかけて、お湯を注ぐだけ。スーパーなどで販売している商品の多くは、この方法で飲めるが、モンカフェは違う。フィルターの合わせ目を開き、しっかりと折り曲げる。カップのフチをはさむようにしてセットして、お湯をかけるという流れだ。

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